国民健康保険は、自営業やフリーランスが加入する健康保険です。6~7月にかけて今年度の支払いがスタートした方も多いでしょう。
一方、全国健康保険協会(協会けんぽ)は、主に中小企業に勤める会社員が加入する健康保険になります。
同じ年収でも、国民健康保険と協会けんぽで保険料が異なるのはなぜでしょうか。
今回は、同じ年収でも国民健康保険と協会けんぽで保険料が異なる理由について解説します。
記事の後半では、年収別に保険料がいくらになるか解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 国民健康保険と協会けんぽについて
国民健康保険は、自営業者やフリーランスを対象とした健康保険です。
具体的には、以下のいずれのケースにも該当しない場合、加入対象者となります。
- 勤め先の健康保険など他の健康保険に加入している
- 生活保護を受けている
- 後期高齢者医療制度に加入している
一方、協会けんぽは主に中小企業で働く人やその家族が加入する健康保険です。
では、国民健康保険と協会けんぽは保険料をどのように決めるか、確認しましょう。
2. 国民健康保険と協会けんぽの保険料の決め方
国民健康保険と協会けんぽは、保険料の決め方が異なります。
そのため、それぞれの保険料率について確認しましょう。
2.1 国民健康保険の保険料の決め方
国民健康保険は、応益割と応能割の2種類です。
応益割と応能割は、それぞれ以下の種類に分けて保険料を定めています。
- 応益割:均等割と平等割
- 応能割:所得割と資産割
国民健康保険は、各市町村で保険料率が異なります。
また、国民健康保険料は世帯の人数ごとに保険料を算出して、世帯主がまとめて支払う必要があります。
そのため、同じ国民健康保険に加入していても、年収や住んでいる市区町村、世帯人数で保険料が異なります。
では、協会けんぽの保険料はどのように決まっているのか確認しましょう。
2.2 協会けんぽの保険料の決め方
協会けんぽの保険料は、都道府県単位で料率が決められています。
一般的に、年齢構成の高い都道府県ほど医療費がかさむため、保険料を決めるための料率は高く設定されます。
つまり、同じ協会けんぽに加入している人でも、お住まいの都道府県が違えば、保険料は同額になりません。
さらに、毎月の標準報酬月額によっても保険料を変えています。
そのため、同じ都道府県にお住まいの人でも、収入が違えば保険料は異なるので注意してください。
では、同じ年収でも国民健康保険と協会けんぽで保険料が異なる主な理由を解説しましょう。
3. 【国民健康保険と協会けんぽ】同じ年収でも保険料が異なる理由
同じ年収でも国民健康保険と協会けんぽで保険料が異なる理由は、以下のとおりです。
- 国民健康保険は扶養親族分の負担が必要だから
- 所得割と標準報酬月額の決め方が異なるから
- 住んでいる都道府県や市区町村で保険料率が異なるから
それぞれの理由について確認しましょう。
3.1 国民健康保険は扶養親族分の負担が必要だから
保険料が異なる理由の1つは、扶養親族分の保険料です。
国民健康保険では、世帯主が扶養親族分の保険料をまとめて支払う必要があります。
一方、協会けんぽでは扶養親族分の保険料を負担する必要がありません。
そのため、同じ年収でも、国民健康保険では扶養親族の保険料が必要なので、保険料が異なります。
3.2 所得割と標準報酬月額の決め方が異なるから
国民健康保険の所得割と、協会けんぽの標準報酬月額の決め方が異なる点も関係しています。
国民健康保険の所得割は、前年の所得をもとに計算しています。
一方、協会けんぽでは標準報酬月額を前年の所得で計算していません。
4月から6月の報酬額の平均をもとに標準報酬月額が計算されています。
所得として計算する対象期間が異なる点も、保険料が異なる理由の1つです。
3.3 住んでいる都道府県や市区町村で保険料率が異なるから
先ほど解説したとおり、国民健康保険と協会けんぽは、住んでいる都道府県や市区町村によって保険料率が異なります。
そのため、住む場所が違えば同じ年収でも保険料が違うので注意してください。
では、年収ごとに国民健康保険と協会けんぽの保険料がいくらになるのか、シミュレーションしてみましょう。
4. 年収ごとの健康保険料はいくらになる?
国民健康保険料と協会けんぽの保険料が、年収500万円、700万円でいくらになるのか、それぞれ確認しましょう。
年収以外の条件は、以下の内容で統一します。
- 東京都新宿区在住
- 所得額は給与所得控除後の金額とする
- 標準報酬月額は年収の12分の1とする
- 35歳で扶養親族はいない
年収ごとに保険料がいくらになるのか、それぞれ確認しましょう。
4.1 年収500万円の場合
年収500万円の場合、給与所得控除後の所得は356万円です。
東京都新宿区の場合、所得356万円の国民健康保険料は、年間約41万8000円です。
月額で計算すると、およそ3万4800円となります。
一方、協会けんぽの場合、標準報酬月額は42万円です。
標準報酬月額が42万円の場合、協会けんぽの保険料は4万918円でした。
先ほどと同じく保険料を企業と労働者で折半して負担するため、個人の負担額は2万459円となります。
以上から、国民健康保険料の負担が約1万4000円重くなりました。
4.2 年収700万円の場合
年収700万円の場合、給与所得控除後の所得は520万円です。
東京都新宿区の場合、所得520万円の国民健康保険料は、年間約61万9000円です。
月額で計算すると、およそ5万1500円となります。
一方、協会けんぽの場合、標準報酬月額は58万円です。
標準報酬月額が58万円の場合、協会けんぽの保険料は5万8882円でした。
先ほどと同じく保険料を企業と労働者で折半して負担するため、個人の負担額は2万9441円となります。
以上から、国民健康保険料の負担が約2万2000円重くなりました。
以上から、すべての年収のケースで、国民健康保険料の負担が協会けんぽの負担に比べて重くなりました。
5. まとめにかえて
国民健康保険と協会けんぽの保険料について解説しました。
シミュレーションした結果にもある通り、国民健康保険料の負担は協会けんぽより重くなる結果となっています。
今回のシミュレーション結果は、扶養親族の人数や自治体によって異なるので、より詳しい内容を知りたい場合は、加入している健康保険の窓口に相談してください。
参考資料
川辺 拓也