現役世代にとって働く期間は長く感じるものですが、気づけば定年間近ということもよくあります。

もともと55歳から受給開始とされていた公的年金も、段階的に支給時期が後ろにずらされ、65歳から年金を受け取ることが一般的になりました。

物価の上昇ほどに年金は増額しない現状にあるため、年金だけで老後を過ごすのは難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。

実際、内閣府の最新版「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上でも働くシニアは少なくありません。

  • 65~69歳:52.0%
  • 70~74歳:34.0%
  • 75~79歳:11.4%

しかし、働くシニアが注意したいのが「在職老齢年金」です。年金と給与の合計額が高い場合、年金がカットされることもあるのです。くわしく見ていきましょう。

1. 「在職老齢年金」とは?わかりやすく解説

「在職老齢年金」は、60歳を超えて老齢厚生年金を受給しながら働く場合、一部または全部の年金が減額される制度です。

具体的には、70歳未満の方が会社に就職して厚生年金制度に加入した場合や、70歳以上の方が厚生年金の適用事業所で働く場合に適用されるので注意が必要です。

具体的に支給停止となる金額について見ていきましょう。

1.1 在職老齢年金の計算式

  • 基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-支給停止調整額)÷2

老齢厚生年金の「基本月額」と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全額が支給停止となることがわかります。

  • 基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額
  • 総報酬月額相当額:とは、その月の標準報酬月額に、その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割ったものを加えた額

基本月額と総報酬月額相当額の合計が支給停止調整額を超える場合、年金は支給停止(支給調整)となります。

ここで重要になるのが「支給停止調整額」がいくらかということです。

2024年度はこの金額が50万円に引き上げられました。