3. 礼金ゼロの物件にはデメリットもある?

礼金ゼロの物件にはデメリットもある?

住宅購入に悩む夫婦の写真

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前述したように近年では賃貸物件が多数あるので、空室を避けるためや長期の空室を埋めるために礼金をゼロにして入居率を高めようとするケースが増えています。

空室が長期化して家賃収入がなくなるよりも、礼金を無くしてでも入居率を高めた方が長期的に考えるとメリットが大きいためです。

そして空室の期間が長い物件にはわけがあります。

築年数が経過している、設備が古い、外観のデザインが悪い、間取りの使い勝手が悪い、最寄り駅から遠い、環境が悪い、近隣トラブルがあった等の理由があることが多いので、礼金がゼロの場合にはこうした物件であることが疑われます。

また礼金だけではなく、敷金もゼロにしている物件もありますが、一見お得に見えても中には礼金と敷金に相当する金額を家賃に上乗せしているケースもあるので注意が必要です。

そのような物件では、長く住むほど敷金や礼金を支払った場合よりも結果的に支払額が多くなってしまいます。

家賃が近隣の類似物件の相場よりも高くなっていないかどうか、高くなっている場合にはその理由を不動産会社に確認するようにしましょう。

4. まとめ

礼金は、もともとは慣習として生まれたルールであり貸主への謝礼であるため、礼金がゼロになっている場合にはこれを支払わないことによるデメリットはありません。

しかし、初期費用が軽減されている分家賃が近隣の相場よりも高く設定されていたり、退去時に高額な清掃費を請求されたりすることもあるので注意が必要です。

物件の賃貸借契約を取り交わす前には、必ず契約書の内容を細かくチェックしておくことを忘れないようにしましょう。

国土交通省「平成30年住生活総合調査結果」によると、借家の住宅及び居住環境に対する総合的な評価に関して、不満率は昭和58年~平成25年までは減少していましたが、平成30年は25.3%に微増しています。

賃貸とはいえ、せっかく住むのであれば気持ちよく快適に生活したいものです。

賃貸借契約の条件にはさまざまなものがあるので、敷金や礼金の有無にかかわらず、特約や退去時の清算方法などを良く確認しておくことが大切です。

参考資料

亀田 融