年金や個人の貯蓄だけでは老後資金が不足するという認識が広がり、積立投資を検討する方も多いでしょう。

新NISA「つみたて投資枠」は、2024年1月からスタートした長期的な資産形成を目指す制度です。

制度が生まれ変わってから約半年が経過し、海外資産を保有している方は円安の影響で収益がプラスになっている方もいることでしょう。

金融庁が公表した「NISA口座の利用状況調査(令和6年3月末時点)」では、2024年3月末には約2322万口座にまで増加しています。

本記事では、新NISAの「つみたて投資枠」について、概要やメリット、デメリットを含めて解説します。

また、10年で1000万円を達成するための月額を、利回りごとにシミュレーションしました。自分にあった積立投資を確率したい方は、ぜひ参考にしてください。

1. 新NISA「つみたて投資枠」とは

新NISAの「つみたて投資枠」とは、個人型の少額投資非課税制度の一環であり、長期にわたり資産形成を目指すための制度です。

2024年1月から非課税保有期間が無制限となり、これまで以上に長期投資をおこないやすくなりました。

また、年間投資枠が360万円に拡大し「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を併用できるため、個人のニーズにあった投資運用が可能です。

【写真6枚】新NISAの特徴&10年で1000万円達成するには毎月いくら積み立てるべきか?シミュレーション結果を見る1/6

新NISAの特徴

出所:金融庁「NISAを知る」

1.1 つみたて投資枠の使い方

つみたて投資枠を利用するためには、金融機関でNISA口座を開設する必要があります。

日本国内に住んでいる18歳以上の方ならどなたでも開設でき、口座は1人につき1口座のみ開設可能です。

つみたて投資枠と成長投資枠が併用できますが、つみたて投資枠は定期的に少額を積み立てることで市場の変動に対するリスクを分散できるため、長期的な資産形成に適しています。

毎月の積立額を設定し、投資目標にあわせた戦略を立てることが重要です。リスクを視野に入れ適切な管理をすることで、安定した長期的な資産形成を目指しましょう。

1.2 成長投資枠との違い

2024年以降の新NISA制度は、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあります。つみたて投資枠は、定期的に少額を積み立てて長期的な資産形成を目指す制度です。

一方の成長投資枠は、より積極的な投資を可能とし、上場株式や投資信託などの成長性の高い金融商品を対象とします。投資対象商品が多いことが特徴です。

つみたて投資枠と成長投資枠の比較表2/6

つみたて投資枠と成長投資枠の比較表

出所:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」

2. 【50歳からの積立投資】月3万円で1000万円を達成するにはいくら積み立てれば良い?

10年後の資産運用における成果は、利回りによって左右します。

50歳からつみたてNISAを開始することを想定し、利回りを1、3、5、9%とした場合、10年後に1000万円を達成するために必要な月々の積立額をシミュレーションしました。

2.1 【シミュレーション①】利回り1%の場合

利回り1%の場合、毎月の積立金額は7万9271円です。

10年後の60歳時には、元本が951万円、運用収益が49万円で、合計1000万円になります。

新NISAシミュレーション利回り1%の場合3/6

新NISAシミュレーション利回り1%の場合

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

2.2 【シミュレーション②】利回り3%の場合

利回り3%の場合、毎月の積立金額は7万1561円です。

10年後の60歳時には、元本が859万円、運用収益が141万円で、合計1000万円になります。

新NISAシミュレーション利回り3%の場合4/6

新NISAシミュレーション利回り3%の場合

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

2.3 【シミュレーション③】利回り5%の場合

利回り5%の場合、毎月の積立金額は6万4399円です。

10年後の60歳時には、元本が773万円、運用収益が227万円で、合計1000万円になります。

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新NISAシミュレーション利回り5%の場合

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

2.4 【シミュレーション④】利回り9%の場合

利回り9%の場合、毎月の積立金額は5万1676円です。

10年後の60歳時には、元本が620万円、運用収益が380万円で、合計1000万円になります。

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新NISAシミュレーション利回り9%の場合

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

シミュレーションを通じて、利回りの違いが資産形成に与える影響は大きく、長期的な投資戦略を策定する際には重要な要素となります。

将来のライフプランに基づいた資産運用の計画を立てるためには、このようなシミュレーションツールを活用することが有益です。

具体的な積立投資のリスクや予想される収益率の変動などを考慮しながら、最適な資金運用の戦略を検討することが大切といえるでしょう。

ただし、シミュレーションは利回りが安定していることを前提に作られたものです。

実際にはマイナスとなる年もあるかもしれませんので、資産運用は余裕資金の範囲内で検討するようにしてください。

3. 積立投資のメリット

金融庁は、積立投資に関する情報やガイドブックを提供しています。

積立投資のメリットを把握しておくことは、資産形成を目指すための重要な要素といえます。主なメリットを見ていきましょう。

3.1 【積立投資のメリット①】少額から気軽に始められる

積立投資は、月々の積立額を少額から設定できるため、投資初心者にもおすすめの方法です。

まずは毎月1万円からスタートし、慣れてきたら3万円に増やすなど、機動的に積立額を変更できるのもメリットのひとつです。

3.2 【積立投資のメリット②】複利効果でお金が積み上がる

複利効果は、金利が高く期間が長いほど大きくなります。

複利とは、元本だけではなく、利子を運用することで、利子にも利子がつくことです。

投資を長期間続けると、複利の効果があいまって、元本割れする可能性が低減されます。

3.3 【積立投資のメリット③】ドルコスト平均法によりリスクが軽減される

積立投資では、定期的に一定額を投資するため、購入価格の平均化が図れます。

これにより、株価が高い時も低い時も購入し続けることができるため、高値掴みのリスクを軽減できます。

この手法をドルコスト平均法と呼び、価格変動のリスクを分散する効果があります。

4. 積立投資のデメリット

積立投資はリスクがともなうため、投資目標やリスクの許容範囲を考えながら検討することが重要です。適切な資金投資ができるよう、デメリットも把握しておきましょう。

4.1 【積立投資のデメリット①】短期間で大きな利益をあげることは難しい

積立投資は、長期的な視点で資産形成をする方法のため、短期間での大きな利益は期待できません。

市場の変動や経済状況に左右される場合があり、投資期間が短い場合は、目標利益をクリアすることが難しくなります。

4.2 【積立投資のデメリット②】目標時点で元本割れしている可能性がある

積立投資のみならず、資産運用全般に言えることですが投資には元本割れのリスクがあります。

投資対象がリスクの高い金融商品の場合、価格変動による損失のリスクが高まります。

10年間投資したとして、10年到達時に元本割れとなっている可能性もあることを理解しておきましょう。

5. 新NISA「つみたて投資枠」を活用して賢い資産形成を目指そう

2014年にはじまったNISA制度がリニューアルされ、2024年1月より「新NISA」がスタートしました。株式投資や投資信託はNISAにより非課税で運用することができます。

新NISAは、「制度(口座開設期間)の恒久化」「年間投資枠が360万円」「非課税保有限度額の新設」など、さまざまな機能が拡充しています。

元本割れといったリスクを避けるためにも、メリットだけではなく、デメリットを把握したうえで無理のない投資をすることが重要です。

シミュレーションを参考にしながら、将来の資産運用の検討をしてみましょう。

参考資料

西嶋 治美