1月から開かれていた通常国会が、6月23日に150日の会期を終えました。

会期終了前の6月21日には、岸田文雄内閣総理大臣が通常国会の振り返りと今後の政権運営の展望について記者会見を開きました。

物価高や円安により、私たちの家計負担は依然として減りません。

加えて、今夏も全国で猛暑が予想されることから、電気代の高騰が不安視されます。

これを踏まえて、岸田総理は会見で緊急支援の実施および追加での給付を検討すると表明しました。

果たして、給付金はどのような内容のものが検討されるのでしょうか。

この記事では、追加で支給される給付金や緊急支援の内容について解説します。

また、すでに実施されている給付金や支援措置についても、あらためて振り返ってみましょう。

1. 【低所得者世帯・年金世帯への給付金】新たに給付検討

【写真1枚目/全6枚】低所得者世帯・年金世帯への新たな支援策/電気・ガス代の補助再開はいつから?次ページ以降で見る1/6

低所得者世帯・年金世帯への新たな支援策

出所:首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」をもとに筆者作成

6月21日の岸田総理の記者会見では「低所得世帯」や「年金世帯」へ追加給付金の支給を検討すると公表されました。

記者会見では「デフレからの脱却」のために欠かせない賃上げの反映や定額減税による所得増加に期待がかかると述べています。

一方で、年金世帯のような収入の限られる層は、物価水準に収入が追いつかず依然として厳しい状況であることを指摘。

格差是正のために、二段構えでの対策を講じると表明しました。

二段構えの対策の「第二弾」として検討されているのが、物価高による食費などの高騰に苦しむ年金世帯や低所得者世帯への追加給付金です。

給付金の追加支給で、幅広い世帯が新しい成長型経済へ移行できるよう支援します。

策定は秋頃を予定しており、現時点で詳しい内容は明かされていません。

2. 【8月から】電気・ガス代補助再開の見通し

【新たな支援策】電気・ガス代補助再開2/6

【新たな支援策】電気・ガス代補助再開

出所:首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」および経済産業省資源エネルギー庁「電気・ガス価格激変緩和対策事業」をもとに筆者作成

6月21日の会見では、追加の給付金以外の支援策も公表されました。

前述の二段構えでの対策の第一弾として、5月まで行っていた電気・ガス代支援を再開し「酷暑乗り切り緊急支援」として実施することを表明しました。

「酷暑乗り切り緊急支援」では、8・9・10月の3ヶ月間、電気・ガス料金補助を行う予定です。夏の電気代高騰に備える支援で、消費者物価の押し下げを進めます。

補助最下位の理由は「物価高や国内のエネルギー構造の脆弱性」です。

ただし、会見で岸田総理は「本来、電気・ガス代への補助金は脱炭素の流れに逆行することもあり、いつまでも続けるべきものではない」としており、支援措置は今回限りのものと考えられます。

再開は8月からですので、7月中には補助の具体的な内容が明かされるでしょう。充実した支援内容を期待したいところです。

3. 現在実施中の支援措置・給付金をおさらい

7月8日現在で行われている国民への経済施策は、主に以下の3つです。

  • 住民税非課税世帯への10万円給付
  • 定額減税および調整給付金
  • 燃料油価格激変緩和補助金

これまでの政府の経済支援を、あらためて振り返りましょう。

3.1 新たに住民税非課税になった世帯への「10万円給付」

住民税非課税世帯への給付金の概要3/6

住民税非課税世帯への給付金の概要

出所:内閣官房「定額減税・各種給付の詳細」および内閣官房「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」をもとに筆者作成

2024年度に住民税が非課税になった世帯には、10万円の給付金が支給されます。2024年度の住民税が非課税、もしくは均等割のみ課税の世帯が対象です。

世帯に18歳以下の子どもがいる場合は、子ども1人につき5万円が追加で支給されます。

なお、2023年度に同様の給付金を受け取っている人は、今年の給付金の対象外です。

住民税が非課税になる要件は、自治体ごとに異なります。支給対象者には郵送物で直接案内が届くため、自治体からの郵送物をこまめにチェックしてください。

3.2 「定額減税」と「調整給付金」

所得税や住民税が課税される人に対しては「定額減税」および「調整給付金の支給」が実施されています。

定額減税は、納税者1人あたりに対して所得税3万円、消費税1万円の合計4万円が減税される施策です。

会社員や公務員の場合、所得税は毎月の税額から差し引かれ、引ききれない分は翌月に繰り越されます。

住民税は、年間の合計納税額から1万円が差し引かれます。6月分の住民税は徴収されず、差し引かれた金額を11ヶ月で等分して徴収する仕組みです。等分した際の端数は7月分にまとめて徴収されます。

定額減税は、扶養に入っている親族の分も減税されます。そのため、世帯によっては減税額が税額を上回る場合があるでしょう。

減税しきれない部分が発生する見込みがある場合は該当者に「調整給付金」が支給されます。給付金額は、減税しきれない分を1万円単位で切り上げた金額です。

調整給付金の対象者には、自治体から案内や必要書類が送られてきます。申請が完了すれば、自治体の支給予定日以降に支給されます。

なお、既に調整給付金の書類送付や支給が始まっている自治体もあるようです。

  • 東京都江戸川区:6月13日に必要書類を発送済、一部世帯には6月27日に給付金を支給済
  • 東京都新宿区:支給案内を6月19日に発送済、確認書を6月28日に発送済、支給は7月11日から順次行われる予定。
  • 東京都墨田区:通知を6月28日に発送済、支給は7月中旬以降。
  • 新潟県上越市:対象者への確認書を6月27日に発送済、給付は申請から約3週間後を見込む

このほかの自治体でも、現在給付の準備を進めています。書類の到着や実際の給付は夏〜秋ごろと見ておきましょう。

3.3 調整給付金の申請方法

調整給付金を受け取るには、自治体への申請が必要です。申請書や案内などの必要書類は、対象者へ自治体から郵送で送られてきます。

必要書類を正しく記入し本人確認書類を用意して、自治体へ返送しましょう。書類に不備がなければ、自治体が示している支給日以降、順次支給されます。

給付金の受け取りは原則申請が必要です。申請し忘れると給付金を受け取れないため、自治体からの郵送物は捨てずに内容をチェックしてください。

なお、自治体によっては手続きなしで給付金を受け取れる場合があります。口座情報が自治体に登録されている場合は、申請なしで口座に給付金が振り込まれます。

申請手続きがない場合も必ず自治体から支給金の案内が郵送されるため、郵送物の確認は怠らないようにしましょう。

3.4 燃料油価格激変緩和補助金

燃料油価格激変緩和補助金は国民に直接支給されるものではありませんが、私たちの生活に大きくかかわる「ガソリン価格」に関連した補助金です。

全国平均ガソリン価格が1リットル168円以上になった場合、1リットルあたり5円を上限として燃料油元売り事業者へ補助金を支給しています。

補助により私たちが使うガソリンの価格は25〜30円程度抑制されており、大幅な値上げなく消費ができています。

当初は2024年4月末で終了する予定でしたが、4月28日に延長が決定、6月21日の岸田総理記者会見で年内継続が発表されました。

ガソリン価格と密接にかかわる原油価格の変動には、今後も注視していく必要があるでしょう。

4. 住民税非課税世帯の年収目安はいくらか

追加給付金は低所得世帯が対象ですが、その一つとして考えられるのが「住民税非課税世帯」です。

住民税が非課税となる目安は、世帯1人あたりの年収がおおむね45〜180万円程度と考えられます。ただし、住んでいる自治体や扶養人数、世帯構成によって住民税が非課税になる条件は異なります。

自分の住む世帯が住民税非課税世帯かどうかを確認するには、市区町村窓口へ問い合わせるほか、自分で計算式を用いて確認する方法があります。

住民税の課税・非課税を判断する計算式について、詳しく紹介します。

4.1 【東京都23区】住民税非課税世帯の要件

東京都23区内に住む人の場合を例に、住民税非課税世帯となる要件を確かめてみましょう。住民税の課税・非課税を判断するには、以下の式を用います。

東京都23区内に住む人の住民税非課税世帯の要件6/6

東京都23区内に住む人の住民税非課税世帯の要件

出所:東京都主税局「個人住民税」をもとに筆者作成

<住民税が非課税(所得割・均等割どちらも非課税)>

  • 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合
    35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
  • 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合
    45万円以下

<住民税の所得割のみ非課税(均等割のみ課税)>

  • 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合
    35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+42万円以下
  • 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合
    45万円以下

住民税は、所得に応じて負担する金額が変わる所得割、課税対象者が均一に負担する均等割で構成されています。

住民税非課税世帯とみなされるのは「所得割・均等割どちらも非課税」「所得割のみ非課税で均等割のみ課税」の世帯です。

既に始まっている住民税非課税世帯への給付金は、世帯主の年収が上記の計算式で算出された金額を下回れば給付の対象となります。

たとえば、独身世帯であれば45万円以下、4人家族であれば182万円以下の場合が給付対象です。

現在検討中の追加給付金も、同様の条件で支給される可能性が考えられます。

国の発信する情報を都度チェックしてみるとよいでしょう。

5. まとめにかえて

低所得世帯や年金世帯への追加給付は、収入が限定的な世帯にとって有益な支援策になると考えられます。

デフレ脱却を目指すためにも、給付内容については今後も注視する必要があるでしょう。

政府の経済施策の目標は「持続的かつ安定的に物価の2%上昇=経済成長を実現すること」です。

しかし、現状では物価上昇によるマイナス面が目立っています。

今後の追加給付や支援策により、難しい局面を打破できるかが、経済成長の鍵となるでしょう。

参考資料

石上 ユウキ