老後は住宅ローンを完済した持ち家で生活すると生活費を抑えられます。しかし、好きなときに住み替えられる賃貸暮らしを希望する人もいるのではないでしょうか。

賃貸住宅は自分のライフスタイルに合わせた家に住めますが、経済的な負担について考えておく必要があります。

今回の記事では老後に賃貸住宅で生活する場合の生活費(主に家賃)が、持ち家に比べてどの程度多くなるかを紹介します。

1. 平均的な高齢者の生活費は?

はじめに総務省の家計調査のデータから高齢者無職世帯(年金生活者)の平均的な生活費を、夫婦世帯と単身世帯ごとに紹介します。

【写真3枚】1枚目/《一覧表》高齢者世帯の1ヶ月あたりの生活費、2枚目/《一覧表》老後の賃貸料(月額・30年分)

《一覧表》高齢者世帯の1ヶ月あたりの生活費

出所:総務省「家計調査報告家計収支編2023年平均結果の概要」より筆者作成

費目のうち住居費は主に家賃であり、家賃を支払っていない世帯の分も含まれた平均額となっています。

1.1 高齢者の持ち家率は?

上記のデータには持ち家世帯と持ち家でない世帯が混在しています。この統計で「二人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯」の持ち家率は94.1% です。

また、65歳以上の単身世帯の持ち家率は85.1%です。

つまり、この統計の対象者のほとんどが持ち家世帯であり、住居費には家賃はほとんど含まれないと考えられます。

そのため、老後に賃貸住宅で生活する予定の人は、平均的な家計収支のデータに家賃分を加味して考える必要があるのです。