3. 世帯の家計状況は?家計がマイナスになる場合の対処法も
人事院事務総局の「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」によると、定年後の国家公務員世帯の家計状況は、就労者、非就労者の世帯ともに「ゆとりはないが、赤字でもない」が最も多くなっています。
「ゆとりがある」と回答した人は全体の1〜2割程度となっており、多くの世帯で生活苦になっている現状がみてとれます。
また、家計の状況について「毎月のやりくりに苦労しており、時々赤字が出る」「どうやりくりしても、常に赤字が出て生活が苦しい」と回答した人の赤字が出る場合の対応として、「退職手当を取り崩す」が70.5%で最も多くなりました。
次いで多かったのは「退職手当以外の預貯金等を取り崩す」が61.1%となっています。
老後生活では、生活費以外にも医療費や介護費用、家の修繕費用、葬式費用など、突然の大きな支出も発生します。
そのため、生活費の赤字補填だけに、定年時の退職金や貯蓄を取り崩すことは、厳しいものといえます。
安泰な老後生活を送るためには、老後生活では毎月いくら赤字になるかを事前にシミュレーションし、計画的に貯蓄をしておくことが大切です。
今回は国家公務員の老後生活の実態を紹介しましたが、企業によっては退職金制度がそもそもないところもあります。
ご自身の世帯状況に置き換え、一度老後生活やセカンドキャリアのシミュレーション・検討をしておけると良いでしょう。
4. 老後について今一度考える機会を作ろう
本記事では、国家公務員の定年時の退職金の平均額と、定年後の収支事情について紹介していきました。
人事院事務総局の調査では、8割の国家公務員が「定年退職後も働きたい」と感じており、その背景には年金だけでは生活が苦しい現状があります。
「定年までにいくら貯蓄があれば安心なのか」は、世帯によって異なります。
まずは、ご自身の受け取れる年金額や退職金の目安を確認し、そのうえで不足する老後資金をシミュレーションしてみると良いでしょう。
【編集部よりご参考】
将来は働かずに年金生活を送る予定という方もいるでしょう。
参考までに、厚生年金保険(第1号)の受給額ごとの人数もご紹介します。
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
参考資料
- 人事院事務総局「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」
- 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「2024年夏のボーナス見通し」
太田 彩子