1.3 退職金があれば安泰?
退職金として2000万円以上も受け取ることができれば、生活も安泰と思ってしまいますが、人事院事務総局の「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」によると、定年退職をした国家公務員の約8割が「定年退職後も働きたい」と考えています。
また、働きたいと思った理由として、8割以上が「日々の生計維持のために必要」と回答しており、最も高い割合を占めています。
定年時の退職金として、2000万円以上も受け取れる国家公務員ですが、なぜ生活にゆとりがないと感じているのでしょうか。
次章では、定年退職後の国家公務員の収支について見ていきましょう。
2. 定年後の国家公務員の収支は?
人事院事務総局の「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」によると、定年退職した国家公務員のいる世帯の1か月当たりの平均的な収入及び支出の状況は下記の結果となりました。
平均収入月額は全体で37万円、平均支出月額は全体で34万9000円となっています。
定年後の就労状況別で世帯の収入と支出の状況をみると、定年後も働いている世帯では平均収入月額が39万8000円、平均支出月額が35万7000円です。
一方で、定年後は就労していない世帯では、平均収入月額が19万2000円、平均支出月額が29万円となっており、年金を主とした収入だけでは不足している現状がみてとれます。
上記からもわかるように、定年後就労しない場合は、年金が収入源の柱となりますが、年金だけでは約10万円の赤字になっています。
定年時の退職金として2000万円を受け取っても、毎月10万円の赤字がある場合は、退職金2000万円は約16年でなくなってしまいます。
このことから、「年金だけでは生活していけない」「貯蓄は医療費や介護費のために残しておきたい」と考え、定年後も就労を考える国家公務員が多いのではないかとうかがえます。