次回の年金支給日は8月15日です。2024年度の年金額は2.7%増額され、6月からは定額減税も始まっているため、年金の手取り額は増えるはずです。

しかし、年金だけで生活しているシニアは全体の半数以下にとどまり、多くのシニアが他の収入源に頼っています。

この記事では、最新の年金受給額の現状と、シニアがどれほど年金を頼りに生活しているかについて詳しく解説します。

年金制度の改善が進む中で、受給者の生活がどのように変化しているか、今後の課題と展望についても考察してみましょう。

1. 次回の年金支給日は8月15日!2024年度の年金額例は

まずは、厚生労働省が公表した資料から2024年度の年金額例を確認します。

【写真1枚目/全3枚】2024年度の年金額例。次の写真で「100%年金だけで生活できている高齢者」の割合をチェック1/3

2024年度の年金額例

出所:厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」

【2024年度の年金額の例】

  • 国民年金(老齢基礎年金):6万8000円(1人分)
  • 厚生年金:23万483円(標準的な夫婦2人分)

国民年金と厚生年金の両方が昨年度と比較して増額されていますが、全ての人が厚生労働省の公表額通りに受け取れるわけではありません。

国民年金の公表額は「満額受給を想定した1人分」の金額であり、未納期間がある場合は受給額が減少します。

また、厚生年金の公表額には国民年金も含まれており、「標準的な夫婦2人分」の年金額です。

「標準的な夫婦」とは、平均収入(平均標準報酬43万9000円)で40年間就業し、老齢厚生年金と2人分の満額国民年金を受給するケースを指します。

次章では、現在年金を受給している人の平均的な受給額について解説します。

2. 令和シニアのリアルな平均年金月額はいくらか

厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金と厚生年金の平均月額は下記のとおりです。

2.1 国民年金の平均月額

  • 全体:5万6316円
  • 男性:5万8798円
  • 女性:5万4426円

2.2 厚生年金の平均月額

  • 全体:14万3973円
  • 男性:16万3875円
  • 女性:10万4878円

年金額の例と比較すると、実際に受給している平均額は少ない印象があります。

特に、老後に国民年金のみで生活する人や、厚生年金でも平均額を下回る受給額の人にとっては、年金以外の備えが必要になるでしょう。

厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、100%年金だけで生活している人は全体の44%に過ぎません。つまり、半数以上の高齢者が年金だけでは生活できていないのが現状です。

2.3 年金だけで生活している人の割合

年金だけで生活している人の割合2/3

年金だけで生活している人の割合

出所:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」

  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%:44.0%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80%~100%未満:16.5%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満:13.9%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満:13.5%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~60%未満:8.5%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満:3.6%

上記から、安心して老後を迎えるためには年金以外の老後資金を準備する必要があります。

また、どうしても毎月の生活が苦しい場合には、国の支援制度を活用する方法もあります。

今年の6月からスタートした「定額減税」も年金受給者への支援措置の一環であり、これにより年金の手取り額が増額されています。

しかし、定額減税の仕組みや金額について知らない人も多いのではないでしょうか。

次章では、定額減税の概要や減税額について詳しく解説します。

定額減税がどのように機能し、どれだけの金額が減税されるのかを理解することで、年金受給者が実際にどの程度の支援を受けられるのか見ていきましょう。

3. 年金受給者も定額減税の対象に

定額減税は、年金から天引きされている所得税や住民税が一定額減額される制度です。

具体的には、所得税が3万円、住民税が1万円、合計4万円が減税されます。

この減税により、年金の手取り額が増えることになります。

年金受給者の定額減税は6月14日から始まり、手取りが増えたことを確認できた方もいるのではないでしょうか。

ただし、定額減税によって6月14日に一気に手取りが4万円が増えたわけではありません。

次章では、公的年金における定額減税の仕組みについて詳しく解説します。

4. 定額減税の仕組み

定額減税は、所得税と住民税で開始時期が異なります。所得税は2024年6月から、住民税は2024年10月から減税が始まります。

所得税の減税では、6月の所得税が3万円以上の場合、減税額の3万円を差し引いた差額が所得税として年金から天引きされます。

6月に天引きされる所得税が3万円未満の場合、3万円に到達するまで翌月以降も減額されます。

住民税の定額減税は1万円で、10月の住民税天引き額が1万円以上の場合、減税額1万円を差し引いた差額が住民税として年金から天引きされます。

10月に限度額の1万円全てを減税しきれない場合、次回以降の年金からも順次減額されます。

定額減税後の税額を確認するためには、支給された年金額や税額・保険料額が記載された「年金振込通知書」を確認してください。

なお、定額減税しきれない場合は、その差額が「調整給付金」として支給されます。

ほとんどの自治体で調整給付金に関する情報が記載されていますので、詳細を知りたい方はお住まいの自治体ホームページを確認するとよいでしょう。

5. 老後資金をどう備える?

ここまでで定額減税の仕組みを説明させていただきました。

定額減税により手取りは増えるものの、年金だけでは生活できないという方が半数以上となりました。

このような場合には、自分自身で老後の生活資金を貯めることが必要になってきます。

老後の資金を貯めるポイントとして、まずは自分自身が老後にどれだけお金がかかるかを明確にすることが必要となります。

毎月の収入と支出を明確化して、支出を削るか、収入を増やす方法を検討してみましょう。

低金利のいま、預貯金だけでは資産価値が目減りしていきます。

iDeCoやNISAなどの税制優遇制度を活用する方法があるほか、今の職場で収入アップが見込めないなら副業や転職を視野に入れるのもよいでしょう。

6. 定額減税や調整給付金の最新情報をチェックして

本記事では、2024年度の年金額改定と定額減税について詳しく解説してきました。

定額減税や調整給付金は、物価高の影響を受けて政府が打ち出した国民への支援施策です。

6月から手取りが増えたとはいえ、あくまで一時的な措置となるでしょう。

そのため、これからも自助努力で資産をつくっていくことの重要性は変わりません。

これを機に今からでもできる老後に向けた資産形成について、ご自身で考えてみてはいかがでしょうか。

 

【編集部よりご参考】

 

記事において厚生年金の平均額をご紹介しました。

年金は個人差が大きいのが特徴です。

参考までに、厚生年金受給額ごとの人数をご紹介します。

  • 1万円未満:6万1358人
  • 1万円以上~2万円未満:1万5728人
  • 2万円以上~3万円未満:5万4921人
  • 3万円以上~4万円未満:9万5172人
  • 4万円以上~5万円未満:10万2402人
  • 5万円以上~6万円未満:15万2773人
  • 6万円以上~7万円未満:41万1749人
  • 7万円以上~8万円未満:68万7473人
  • 8万円以上~9万円未満:92万8511人
  • 9万円以上~10万円未満:112万3972人
  • 10万円以上~11万円未満:112万7493人
  • 11万円以上~12万円未満:103万4254人
  • 12万円以上~13万円未満:94万5662人
  • 13万円以上~14万円未満:92万5503人
  • 14万円以上~15万円未満:95万3156人
  • 15万円以上~16万円未満:99万4044人
  • 16万円以上~17万円未満:104万730人
  • 17万円以上~18万円未満:105万8410人
  • 18万円以上~19万円未満:101万554人
  • 19万円以上~20万円未満:90万9998人
  • 20万円以上~21万円未満:75万9086人
  • 21万円以上~22万円未満:56万9206人
  • 22万円以上~23万円未満:38万3582人
  • 23万円以上~24万円未満:25万3529人
  • 24万円以上~25万円未満:16万6281人
  • 25万円以上~26万円未満:10万2291人
  • 26万円以上~27万円未満:5万9766人
  • 27万円以上~28万円未満:3万3463人
  • 28万円以上~29万円未満:1万5793人
  • 29万円以上~30万円未満:7351人
  • 30万円以上~:1万2490人

参考資料

筒井 亮鳳