近年、おひとりさまとして老後生活を迎える割合が増加しており、厚生労働省の「令和5年版厚生労働白書」によると、男女どの年齢階層においても未婚率が上昇しています。
筆者も過去に証券会社、保険会社時代に1000世帯以上の相談を行ってきましたが、おひとりさまが増えてきていることを実感しています。
おひとりさまとして生活を送っていくうえで、不安になるのがやはり「老後資金」です。特に40歳代や50歳代になると「なんとかなるだろう」という楽観的な考えはなくなり、より現実的で具体的な対策を考え始めだすでしょう。
「毎月の給料からいくら貯金すればいいのか、どのくらい資産運用しようか」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、40歳代おひとりさまの貯蓄割合や収入からの何%を貯蓄に回しているかについて紹介していきます。記事の最後に「老後に向けて今から取り組むべきこと」についても紹介しているので参考にしてください。
1. 40歳代「おひとりさま」の平均貯蓄額はいくら?
まずは40歳代おひとりさま世帯の平均貯蓄額を見ていきましょう。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)」によると、40歳代 単身世帯の平均貯蓄額は下記の結果となりました。
- 平均値:657万円
- 中央値:53万円
「平均値」は極端に貯蓄額が多い人がいた場合、値が偏る傾向にある一方で、「中央値」は対象となるデータを順に並べ、中央にある値を指します。
そのため、一般的な貯蓄額の実態を知りたい方は中央値を参考にすることをおすすめします。
40歳代おひとりさまの平均貯蓄額の中央値は「53万円」であり、老後資金にしては少ない額となっています。
また、中央値と平均値に約600万円もの差が生じていることから、貯蓄ができている人とできていない人の格差が生じていることがわかります。
1.1 40歳代「おひとりさま」の貯蓄割合【一覧】
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)」によると、40歳代 単身世帯の貯蓄割合は下記の結果となりました。
- 金融資産非保有:35.8%
- 100万円未満:14.8%
- 100~200万円未満:5.9%
- 200~300万未満:4.9%
- 300~400万円未満:6.2%
- 400~500万円未満:2.8%
- 500~700万円未満:2.8%
- 700~1000万円未満:3.1%
- 1000~1500万円未満:7.7%
- 1500~2000万円未満:2.5%
- 2000~3000万円未満:4.0%
- 3000万円以上:5.9%
貯蓄割合の中で最も多いのは100万円未満で「14.8%」を占めています。
次いで多いのは1000〜1500万円未満で「7.7%」を占めており、貯蓄割合からも貯蓄ができている人とできていない人の格差がみてとれます。
また、「貯蓄ゼロ」となる「金融資産非保有割合」は35.8%となっており、3人に1人以上は貯蓄が全くできていないこともわかります。
近年では「老後2000万円問題」が話題となるほど、老後は年金だけで生活していくのが難しくなっています。
特に単身世帯は、全て自分一人で老後の準備をする必要があることから、早いうちから老後資金を貯蓄しておくことが大切になるでしょう。
では具体的に、40歳代おひとりさま世帯は収入からどのくらい貯蓄に回しているのでしょうか。
次章で詳しく紹介していきます。