3.2 世帯年収1000万円超の貯蓄ゼロの割合
実際に、金融広報中央委員会の同調査によると、世帯年収1000万円超の約1割の世帯が金融資産非保有、いわゆる貯蓄ゼロとなっています。
- 1000〜1200万円未満の貯蓄ゼロ割合:11.5%
- 1200万円以上の貯蓄ゼロ割合:9.7%
世帯年収が高いにもかかわらず、貯蓄ゼロの世帯が存在する背景としては「高い住宅ローン返済負担」や「教育費といった高額支出」などにより負債が貯蓄を上回っていることから、貯蓄が難しい現状が考えられます。
また、日本では高収入になるほど、税金負担が大きくなるだけでなく、公的な助成や給付金が所得制限により受けられなくなります。
このことから、手取り額に対して生活支出や教育費などの支出割合が多くなり、収入を貯蓄に回せない世帯も一定数いるのだとうかがえます。
「世帯年収をアップさせて、貯蓄額を増やしたい」と考えている方は、世帯年収を上げるための手段とともに、家計収支やライフプランの見直しなどもしておけると、計画的に貯蓄がしやすくなるでしょう。
4. 夫婦で世帯年収1000万円超を目指そう
本記事では、給与所得者と世帯での年収1000万円超の人の割合について詳しく紹介していきました。
給与所得者のうち年収1000万円超の人は5.4%なのに対して、世帯で年収1000万超を達成している割合は12.6%となっています。
年収1000万円超の世帯の共働き率が約7割であることから、夫婦で協力して1000万円超を目指したほうが、世帯年収を上げやすいとうかがえます。
とはいえ、世帯年収が上がれば必然的に貯蓄額も上がるわけではなく、家計状況やライフプランによっては世帯年収が1000万円超でも貯蓄ゼロの状態が続く可能性もあります。
貯蓄額を増やしたいと考えている場合は、年収アップの検討とともに、「家計収支の見直し」や「ローンや教育費のシミュレーション」などを事前にしておけると良いでしょう。
参考資料
- 国税庁「2022(令和4)年分 民間給与実態統計調査」
- 厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査の概況II 各種世帯の所得等の状況」
- 総務省統計局「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表 第8-2表」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
太田 彩子