3. モデル夫婦世帯2人分で「月額約23万円」は「一般的」な水準といえるのか?

厚生労働省が公表したモデル夫婦世帯が年金として「月額23万円」を受け取る場合、下記のような世帯が想定されます。

  • 夫婦ともに国民年金を満額受給
  • 夫(または妻)が厚生年金(平均標準報酬43万9000円で40年間就業)

平均標準報酬43万9000円を年収に単純換算すると「約526万円」となります。

国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は458万円です。

また、国税庁の同調査による年代別の平均年収では、40歳代後半〜50歳代後半でしか500万円台となっていません。

年齢階層別の平均給与

年齢階層別の平均給与

出所:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」

以上のことから、モデル夫婦世帯のように平均年収約526万円で40年間就業できる人は「一般的」ではないと言えるでしょう。

どちらか一方が厚生年金・どちらか一方が国民年金のみを受給する夫婦世帯では、モデル夫婦世帯の年金額である「月額約23万円」を下回る世帯の方が多いのではないかと推測できそうです。

しかし、これはあくまでも現役世代の平均給与を一つの目安として比較したものです。いまのシニア世代の実態はどうなのか。次章で確認していきましょう。