物価上昇が進む中で賃金が上がりにくい昨今。
お金の相談を受けるのが筆者の仕事ですが、その中で「ご自身の生活費がどれくらいかかっているのか」を把握している人は大変少ないです。
生活費と一概に言っても、食費、光熱費、通信費、娯楽費など種類は様々です。今の現役世代は働くことが可能なため、そこまで生活費は気にしなくても良いかもしれませんが、老後はそうはいきません。
老後の生活はご自身の年金と貯金でやりくりする必要がでてくるため、今よりもシビアにお金を管理しないといけないと言われています。
そこで今回は老後のリアルな生活費に着目するとともに、老後の資産についても一緒に確認してみたいと思います。
1. 65歳以上無職夫婦「1ヶ月の生活費」は慢性的な赤字
2024年3月に公表された総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支は慢性的な赤字になっています。
1.1 毎月の収入
- 収入合計:24万4580円
- うち社会保障給付(主に年金)21万8441円
1.2 毎月の支出
- 消費支出:25万959円
- うち食料:7万2930円
- うち住居:1万6827円
- うち光熱・水道:2万2422円
- うち家具・家具用品:1万477円
- うち被服及び履物:5159円
- うち保健医療:1万6879円
- うち交通・通信:3万729円
- うちその他:5万839円
- 非消費支出:3万1538円
- 支出合計28万2497円
1.3 毎月の収支
- ▲3万7916円
慢性的に約3万円以上の赤字が出ていることが確認できます。
食費と光熱・水道費の合計で約10万円を占めています。保健医療も1万6879円と、現役世代にとっては高額に思えるでしょう。
「高齢になれば支出はもっと減らせる」と思った方がいるのではないでしょうか。確かにこちらは平均値なので、実態を表しているとはいえません。
実際には収入の範囲内に収めるよう工夫している世帯が多いでしょう。
しかし、「食費はもっと減るはず」と思い込むのは危険です。高齢になるほど調理が億劫になり、ミールキットや宅食に頼る機会が増えます。
もし施設入居をするなら、費用はぐっと高まるでしょう。
生活費のダウンサイジングは大切ですが、必ずしも成功するわけではないことを踏まえ、老後資金の準備を進める必要があります。
では、65歳以上の無職夫婦はいくらの貯蓄を保有しているものなのでしょうか。