4. 結局は繰上げ・繰下げをどう判断すべき?
今回は年金の繰上げ受給・繰下げ受給について解説し、シミュレーションで損益分岐点を見てきました。
繰り上げと繰り下げの仕組みが分かると、結局何歳から受け取るのが一番お得なのかが気になるものですが、結論から述べるとこれには答えがありません。
年金の受給開始年齢については「損得計算」で考えるのではなく、自身の生活費から逆算して考えることが大切です。
仕事による収入がなくなったあと、いくらあれば生活できるのかを一度考えてみましょう。
たとえば、十分な金融資産がない場合や働くことができない場合は、年金に頼るしかありません。
60歳以降の家計収支が赤字になるケースでは、繰上げ受給を検討すべきでしょう。
一方、公的年金なしでも生活費がまかなえる場合や、働くことによる収入がある場合、貯金や公的年金以外の年金制度(iDeCoや個人年金など)の切り崩しができる場合は、繰下げ受給を検討してみてもよいでしょう。
人生100年時代と言われる長寿の今、長く生きることを想定して繰下げ受給をして備えることができます。
いずれにせよ、老齢年金だけでは老後生活資金が足りなくなる可能性があることを想定し、早めに老後資金の準備を始めておくと安心でしょう。
まずは将来どのぐらい老後資金が必要になるのか、計算してみてはいかがでしょうか。
参考資料
菅原 美優
執筆者
相続診断士、一種外務員(証券外務員一種)、生命保険販売資格を保有。関西学院大学国際学部卒業後、人材業界にて求職者のキャリア支援や企業の採用コンサルティングに従事。その後、ジブラルタ生命保険株式会社に入社し、生命保険販売業務に携わる。現在はファイナンシャル・アドバイザーとして人生設計をサポートし、資産形成から相続までのライフステージに応じた提案を得意としている。お客様からの紹介を通じて、老若男女問わず幅広い世代の人生やお金にまつわる相談経験を待つ。兵庫県三田市出身。
監修者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)/元銀行員
武庫川女子大学文学部卒業後、2015年に株式会社三菱UFJ銀行に入社。国内外株式の仲介、国内外の債券、投資信託、生命保険、住宅ローンなどの販売を通じ、主に個人顧客向けに資産運用提案業務に従事した。特に投資信託、保険商品の提案を得意とし、豊富な金融知識を活かした丁寧で分かりやすい提案が強み。表彰歴多数。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)保有。
現在は株式会社モニクルリサーチのメディア編集本部・LIMO編集部に所属。「くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~」では厚生労働省管轄の公的年金(厚生年金保険と国民年金)、金融庁、総務省、デジタル庁、財務省(国税庁)といった官公庁の公開情報から、年金制度の仕組み、退職金、資産運用や貯蓄、NISA、iDeCoなどをテーマに企画・編集・執筆を行う。(2024年6月21日更新)。