3. 男性が遺族厚生年金をもらいにくい理由
男性が遺族厚生年金がもらいにくい2つの理由について解説します。
3.1 理由1.男性のほうが受給要件が厳しい
男性がもらいにくい理由の1つは、年金受給者の要件が男性に厳しいからです。
対象となる子どもがいない場合、女性は年齢制限がないのに対し男性は配偶者死亡時に55歳以上でないと受給権が発生しません。
また、60歳未満の男性の受給開始は60歳からです。
男性が生計の主体者で60歳定年を標準モデルとして制度設計されているため、男女間で不平等が発生しています。
また、女性にのみ適用される加算もあります。
3.2 理由2.男性のほうが老齢厚生年金の受給額が多い
一般的に男性のほうが遺族厚生年金額の計算基礎となる老齢厚生年金額が高いことも、男性が遺族厚生年金をもらいにくい一因です。
65歳以上で老齢厚生年金と遺族厚生年金を同時に受給する場合、遺族厚生年金額は次の通り計算します。
- 遺族厚生年金額=死亡者の老齢厚生年金額×3/4-配偶者の老齢厚生年金額
死亡した人の老齢厚生年金の3/4が遺族年金の基本年金となるため、老齢厚生年金額が高い人ほど遺族厚生年金額が高くなります。
一方、受給者の老齢厚生年金と同額が支給停止となるため、受給者の老齢年金額が高いほど遺族厚生年金額は低くなります。
妻が死亡して遺族厚生年金額を計算すると、夫の老齢厚生年金額が高いため全額支給停止(=遺族厚生年金額が0円)となるケースが大半です。