2. 【ケース2】母さんを施設に入れるなんて、よく言えたもんだな!
2.1 親の介護の分担の話題できょうだいの仲が険悪に
大型連休の初日に、実家で顔を合わせたBさん(長男49才)とCさん(長女46歳)。久しぶりに会った一人暮らしの母(80歳)の姿に老いを感じたといいます。
心配になって「一人暮らしは難しいかも……」とCさんが兄に相談すると「じゃあお前が面倒をみろ。俺は仕事が忙しいし、母さんだって娘に面倒を見てもらうほうがいいだろう」と決めつけるBさん。
Cさんとしては母に施設に入ってもらい、平等に介護費用などを分担できればと考えていたそうですが、実際に入所するとなればどのくらいお金がかかるのか不安もありました。
「施設に入れてしまえだなんて、よくそんな薄情なことを言えるな。高額な費用がかかるのなら俺は反対だ」と頑としてCさんの話を聞こうとしないBさん。せっかくの親子の和やかな時間が一気に険悪ムードに……。
「母は年金と貯金で介護費用を賄えると考えているようでした。ただ、母の自己資金がどれくらいあるのかもわかりません。母のことは心配ですが、全部自分に押しつけようとする兄の態度は納得できません。落ち着いて話し合っておきたいのですがモメてばかりです」とCさん。
介護の分担をどうするかということに加え、そこにお金が絡んでくると、きょうだいとはいえイザコザに発展してしまうケースが多々あります。現状を知っておくことはとても大切です。
介護にまつわる内閣府の調査結果も見てみましょう。
2.2 【データ】65歳以上の約半数が「介護のプロに介護を任せたい」と考えている
全国65歳以上の男女を対象にした内閣府の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」によると、将来トイレなどの介護が必要になった時「ヘルパーなど介護サービスの人(46.8%)」「配偶者(30.6%)」「子(12.9%)」「子の配偶者(1.0%)」に介護を頼みたいと回答。
自分の介護は「介護のプロに任せたい」と考えている人が約半数弱にのぼります。一方「わが子に介護をしてもらいたい」と考えている人は約1割強。この割合をどうとらえるかには個人差がありますが、子どもに頼るつもりがない人は意外に多いと感じる人もいるでしょう。
では、介護費用についてはどうでしょう?
同調査では、65歳以上の85.2%が、介護が必要となった場合介護費用を「自分自身の資産から出す」と答えているのです。とはいえ、これは元気なシニア世代の回答。高齢になった親は判断力が低下し、自身でお金の管理ができなくなってしまうこともあります。
介護が必要になったときにどうしたいかを親にさりげなく聞いておき、きょうだいがいる場合は、お互いどう協力できるかを感情的にならずに話し合えるような関係づくりをしておくのが理想でしょう。
さいごのエピソードはちょっとややこしい話になりそうです…。みなさん「お墓」のことで漠然と不安を抱えていたりしませんか?