2. 厚生年金が15万円なら「老後は安泰!」と言い切れない日本
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯の月の支出は「15万7673円」です。(消費支出14万5430円+非消費支出1万2243円)
上記を基準に考えると、厚生年金として月額15万円の収入があれば収支はトントンに思えます。
ただし、支出額は「毎月一定ではない」「実際には個人によってばらばら」「インフレの可能性がある」という点を考慮する必要があります。
2.1 支出額は毎月一定ではない
ギリギリ黒字に収まるような収支の場合、急な入院や冠婚葬祭費、住宅の改修費用などの突発的な支出があれば、赤字になる月もあります。
同じような暮らしを続けていても、例えば4月は「自治会費を1年分払い、冬物のクリーニング代がかさんだ」という世帯は多いのではないでしょうか。
変動費と呼ばれるものは、文字通り月によって異なるものです。収支がトントンであれば、少しの支出増で途端に家計が赤字になってしまうリスクがあるのです。
収支がトントンだからこそ、次の月にやりくりして黒字に戻すのは難しいかもしれません。
2.2 支出額は個人によってばらばら
記事を読んで、「支出額は世帯によってばらばらだろう」と思った方が大半だと思います。
まさにそのとおりで、平均=多くの世帯にあてはまる、というものではありません。また、総務省の統計では住居費が平均で1万円台となっているため、賃貸住まいの方は家賃の上乗せが必要である点にも注意が必要です。
あくまでも「我が家の場合ではどうか」という視点が必要になります。
2.3 インフレの可能性がある
最後に、インフレの可能性にも注意が必要です。今の15万円の価値が、今後も同じとは限らないからです。
日本ではまさに物価上昇が進んでおり、貯金に頼らず資産運用を取り入れる方が増えてきました。
公的年金も、実は物価や現役世代の賃金に合わせて毎年改定されるのですが、マクロ経済スライド調整により、十分な上昇は見込めません。
「15万円あれば安泰」というのは、時代とともに変化する可能性がありのです。
さらに、年金から天引きされるお金があるということにも注意が必要です。次章にてくわしく確認しましょう。