現代はおひとりさまもさまざまなサービスを躊躇なく、利用できる時代です。

全国に店舗を展開している人気焼肉店「牛角」は「7組に1組が一人利用」だといいます。

少し前までは、焼肉は「複数人で食べる」といった固定観念がありました。

数年程前から、「ひとり焼肉店」が大都市を中心にメジャーになってきましたが、「おひとりさま利用を謳っている焼肉店」だから、ひとりで利用できるという人も多いでしょう。

牛角はファミリー層もターゲットとしている他、サークルや企業の打ち上げでの利用も多いイメージがあります。

しかし実際のところ、牛角では7組に1組がひとりで焼肉を楽しんでいることからも、「〇〇は1人は×」「〇〇なら1人でもok」といった考え方は払拭されつつあると言えるでしょう。

また今春、ドラマ「ソロ活女子のススメ4」(テレ東系列)の放送が予定されています。

本作は主人公・五月女恵(江口のりこ)が高級フレンチや火鍋、ホテルステイなどさまざまなことをひとりで楽しむ人気シリーズ。

「おひとりさま」だからこその気付きや発見があるだけでなく、ひとり行動では店舗スタッフや他のお客さんと「一期一会」の思い出が生まれることを教えてくれます。

本記事では、現代人がひとり行動を好む傾向にあることをデータから確認した上で、おひとりさまで楽しむコツを紹介します。

1. 「ひとり行動=恥ずかしい」の時代は終わった。現代人はひとり行動が好き

日本人について、「群れるのが好き」「日本人は集団を重んじる」と言われることは多いです。

また、少し前までは女性がひとりでサービスを利用したり、娯楽を楽しんだりすることにみじめなイメージがつきまといました。

例えば、2012年に放送されたドラマ「結婚しない」(フジテレビ系列)では、30歳代半ばの田中千春(菅野美穂)が女一人での食事は恥ずかしい、女一人でいると肩身が狭いといった発言をしています。

「結婚しない」の放送から約10年経った現在では「ソロ活女子のススメ」シリーズが人気を集めているように、ひとりでどこにでも行き、楽しむことが前向きにとらえられています。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社「おひとりさまに関するアンケート調査」(18~69歳の男女1500名におひとりさまに関するアンケート調査)より、ひとり行動の好き嫌いを確認します。

「あなたは、ひとりで行動することは好きですか」という問いに、「とても好き」と回答した人は全体で28.9%と3割近くです。「まあまあ好き」と回答した人をあわせると、回答者の約9割がひとり行動に肯定的。

特に、年齢が若い人ほどひとりでの行動を好んでいます。

現在は「ソロ活」という言葉も、多くの人にとって聞き慣れた言葉となっています。

多様性や個人が重視される時代で自我を育んだ若年層は、ひとりで行動することにマイナスイメージを抱くことは少ない傾向にあります。

また、独身者の増加もひとり行動のイメージの変化に影響しています。

2. レストランや商業施設もひとり客を歓迎している

レストランや商業施設もひとり客を歓迎

女性がひとりで食事をする写真

leungchopan/shtterstock.com

おひとりさまでの来店は客単価が低くなることから、お店側から好まれないという見方もあります。

しかし近年では、完全個室の料亭など一部のお店を除き、おひとりさまでの利用を制限しているお店はほとんどありません。

というのも、近年は独身者や恋愛に無関心な人も増えており、2人以上の利用に制限していてはお店側も集客の機会を喪失します。

また、そのテーブルに誰も座らなければ売上は発生しませんが、1人での利用客を受け入れれば客単価は低くとも売上は発生します。

近年ではアフタヌーンティーやコース料理など、歴史をたどると複数人で楽しむとされていたものも、おひとりさまでの需要が増えています。

ホテルのラウンジで優雅にひとりで過ごしたり、華やかでゆったりとした空間でフレンチ料理を味わったりするおひとりさまも珍しくありません。

特に、ホテルはビジネス利用の宿泊客も想定しているため、スタッフはラウンジやメインダイニングにおいてもおひとりさまの対応に慣れています。

また、テーマパークにおいてもスタッフはおひとりさまを歓迎しており、対応に慣れています。

筆者はひとりで大阪のテーマパークに行った経験がありますが、案内がスムーズでアトラクションの乗車時におひとりさま対応に慣れていると感じられるシーンがありました。

もちろん、おひとりさまであるからといって、スタッフから心ない対応をされたことはなく、心のこもった対応をしてもらえたことも思い出です。

また、アトラクションの待ち時間を短縮できる「シングルライダー」(1人乗り)を導入しているテーマパークもあります。

こうしたサービスからも、事業主はひとり客を歓迎し、1人で楽しむ人も想定していると受け取れます。