4. ある日突然、45歳の夫が心筋梗塞で帰らぬ人に

愛する夫が、突然帰らぬ人に…。

喪服姿の女性の膝元。手には数珠。

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そんなギリギリの生活をしていたある日、夫が入浴中に心筋梗塞を起こし、突然帰らぬ人になりました。まだ45歳の若さでした。

突然のことにA子さんは大きなショックを受けたのは当然ですが、今まで夫の優しさが繋ぎ止めてくれていた心の糸がぷっつりと切れてしまったようです。

夫の死後も休みなく続く、仕事に介護に子育て…。次第にA子さんは心のバランスを崩すようになり、突然涙が止まらなくなることが増えていったのです。

5. 職場の同僚に相談したことをきっかけに死後離婚に踏み切る

ある日の昼休み、A子さんは同僚に今の自分の状況について話しました。

その同僚は長年、個人営業を担当しているため、相続制度についてよく知っています。その同僚から「死後離婚も選択肢の一つじゃないかな?このままだとA子さんが限界になるよ」とアドバイスをしました。

しかし、A子さんが「死後離婚」を選択すると、人工透析を続ける義母と、浮気されて離婚した義理の妹とその子供たちを放り出すことになる気がして、なかなか踏み切れずにいました。

しかし、夫の死後も続く、仕事・介護・子育ての日常に心と身体は限界を迎え、ある日A子さん自身が倒れてしまいました。

病院に運ばれたAさんは鬱病と診断されました。

そして、鬱病と診断された自分を心配そうに見つめる実の子供たちの表情を見た時に「私まで病気になってしまっては、この子たちを守ることができない。義母や義理の妹に気を使っている場合ではない!」と死後離婚を決意しました。

6. 遺影に手を合わせるたびに心を痛めるA子さん

A子さんは子供2人と賃貸アパートを借りて生活をしています。鬱病の症状も落ち着き、忙しくも平穏な毎日を過ごしています。

しかし、夫の遺影に手を合わせるとき、ふっと義母や義理の妹のことを思い出し、「自分の頑張りが足らなかったから、こんな結果になってしまったのではないか」と心が痛むそうです。

7. 夫亡き後、義母・義妹と「ひとつ屋根の下」で暮らせますか?

仕事や子育てをしながらの介護は、介護をする人にとって大きな負担となります。介護をする人の方が、こころのバランスを崩してしまうケースも珍しくありません。

A子さん一人が義母の介護を背負う状態でなければ、彼女が鬱病を発症することもなく、義理の妹であるB子さんとも知恵を出し合いながら義母を支えていけたかもしれません。

そもそもの話、夫亡き後、義母・義妹と「ひとつ屋根の下」で暮らし続けることは、相当な覚悟が必要となるでしょう。

自分自身の介護が必要になった時に、家族が介護に専念できる環境にいるとは限らないのだということは、私たちみんなが覚悟しておく必要があります。

介護を「一人娘」や「長男の嫁」などの誰か一人だけに依存してしまうことは極力避けたいものです。そこで家族を救う一つの道が、介護をプロにお任せするという選択肢。

遠い将来の自分と家族のために、介護資金は若いうちから計画的に準備していきたいものですね。A子さんの事例が介護資金を計画的に準備するための、はじめの一歩となれば幸いです。

※記事中の事例は、個人情報に配慮し内容の一部を脚色しています。

参考資料

佐橋 ちひろ