2. 【事例】「介護×仕事×子育て」で鬱病になった妻は死後離婚を選択

「介護×仕事×子育て」により心身ともに限界になり、夫の急死をきっかけに鬱病を発症。死後離婚をした実際の事例を紹介します。

2.1 「義母と同居」A子さん(40歳・会社員)の場合

A子さんは地方都市に住む40歳の会社員です。

大学を卒業後、地元の地方銀行に入社し窓口担当として働いています。プライベートでは25歳の時に5歳年上の夫と結婚し、2人の子供を授かりました。

現在は夫の実家を改装し、義母と夫、14歳の長男・12歳の長女の5人で生活しています。

2.2 時短勤務で義母の介護を担当

義母は5年前から週に3回、人工透析に通っています。

病院までは車で10分ほどですが、義母は一人で病院に行くことができません。夫と話し合った結果、A子さんが介護を理由に職場に時短勤務を申請し、送迎を行っています。

義母の通院は働きながら子育てをするA子さんにとっては負担ですが、義母には子供が小さいときに子育てを手伝ってもらった恩があります。

また、夫がいつも優しくA子さんの気持ちに寄り添ってくれていたので、A子さんは仕事と子育て・介護をなんとか両立させていました。

3. ある日、義理の妹が子供を連れて実家に戻ってきた…

そんなある日、義理の妹B子さんが、小学生の3人の子供を連れて実家に戻ってきました。B子さんの夫が浮気をしたことをきっかけに離婚したのです。

慰謝料と養育費は毎月振り込まれるものの、結婚後ずっと専業主婦をしていたB子さんが3人の子供を養える仕事につくことは難しく、生活費に困るようになり実家に居候すべく戻ってきたのです。

A子さん夫婦は戸惑いましたが、夫に浮気されたB子さんを不憫に思い、同居することにしたのです。B子さんは生活費を稼ぐべく、近所の介護施設に就職しました。

しかし、介護施設の仕事はシフト制で勤務時間が不規則な上に、夜勤もあります。月の半分程度は子供たちが帰宅した時間帯にB子さんがおらず、仕事を終えたA子さんが5人の子供たちの食事やお風呂・宿題の面倒などを一手に引き受ける状態でした。

仕事に介護に5人の子供の子育て…。体力も気力も限界に近いA子さんの心を繋ぎ止めてくれていたのは、優しい夫でした。夫はなるべく早く仕事を切り上げ帰ってきてくれる上に、食器洗いや洗濯物を畳むなど、A子さんの負担を減らそうと尽力してくれたのです。