2. 富裕層が取り組んでいる倹約ポイント4選
筆者が銀行時代に出会った富裕層のお客さまは、大きく分けて「代々の資産を相続している人」と「自ら事業を立ち上げて資産を築いた人」の2つのパターンに分かれていました。
これから資産形成に取り組む方が参考にしたいのは、後者の富裕層が行っている生活習慣です。
自ら資産を築いた富裕層の方には、いくつか共通して見られる節約ポイントがあります。
ひとつずつ紹介していきましょう。
2.1 無駄なコストは支払わない
富裕層というと「細かいことを気にせず何にでもお金を使う」という印象があるかもしれませんが、実は全くの正反対です。
富裕層ほど日々のコストや手数料に敏感で、無駄なコストを削減する意識を持っています。
たとえば、筆者は外回り営業として振込手続きなどを預かることがありましたが、「一番手数料がかからない振込方法は何?」と聞かれることが多くありました。
1回あたりの手数料は微々たるものでも、それが積もれば大きなコスト負担になることを知っているからです。
効率よく貯蓄に取り組むためには、小さなコストを削減していくことが大切なポイントです。
2.2 税負担の軽減に取り組む
税負担の大きい富裕層は、税金対策にも積極的です。
特に、所得税では所得が大きくなるほど税率が高くなる「累進課税制度」が採用されているため、所得の大きい富裕層にとってはかなりの税負担となります。
そのため、しっかりと税制への理解を深め、所得控除などを活用しながら税負担の軽減に取り組んでいる人がほとんどでした。
会社員の場合は税金が源泉徴収されているため、「どのような税金をどれくらい納めているか」ということがあまりピンとこないかもしれません。
しかし、少しでも手取り額を増やして貯蓄額を増やすためには、税制を理解して対策に取り組むことが大切です。
2.3 新しい制度や税制を活用する
新しい制度や税制に敏感であることも富裕層の特徴です。
たとえば、2014年にNISA制度が開始となったときは、富裕層の方から「NISAのことを教えて」と依頼されることが多くありました。
iDeCoについても同様で、富裕層の方は「活用できる制度は積極的に活用する」という特徴があります。
新しい制度や税制は「何だか難しそう」といった理由から敬遠してしまいがちですが、自ら情報収集に取り組むことを意識してみましょう。
2.4 見栄で車を選ばない
「家の車庫に外車が何台もある」、「派手な車ばかりを購入する」、筆者が銀行で出会った富裕層のお客さまの中には、こういった方はあまりいらっしゃいませんでした。
富裕層と聞くと派手な車に乗っているようなイメージがあるかもしれませんが、実際は実用的な車を選ぶことがほとんどです。
もちろん、中には車を何台も所有している方もいらっしゃいましたが、そういった方は決して見栄ではなく本当に車が好きで購入している方でした。
コツコツと資産を築くためには、「本当にお金をかけるべきところ」と「そうでないところ」をきちんと分けて支出を管理することが大切です。
3. 富裕層への道は日々の習慣から
富裕層が日々取り組んでいる倹約は、どれも難しいものではなくすぐに取り入れられる習慣ばかりです。
いきなりまとまった資産を築くことは難しいものの、日々コツコツと倹約に取り組むことで資産形成につながっていきます。
ぜひ、本記事で紹介した倹約ポイントを参考に、今日からの習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「2022(令和4)年国民生活基礎調査」
- 株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」
椿 慧理