2. 50年の住宅ローンがFPとしておすすめできない理由

50年ローンが全員におすすめできない理由は、以下の3点です。

  • 適用金利が高くなる
  • 老後生活中もローンの返済が必要
  • 利息分が大きく元金の返済割合が低い

それぞれの注意点について解説します。

2.1 適用金利が高くなる

50年ローンは、適用される金利が35年以下の金利より高くなるデメリットがあります。

例えば、住宅金融支援機構が提供しているフラット35とフラット50で最も適用されている金利は、以下の通りです。

  • フラット35:年1.870%
  • フラット50:年2.230%

適用金利が高くなると、結果的に利息の支払総額が増えるので、長期的な視点で負担が増える点が注意すべきポイントです。

2.2 老後生活中もローンの返済が必要

返済期間が50年の住宅ローンを組むと、定年退職後も返済が必要なので、老後の生活が圧迫される可能性があります。

定年によって収入がなくなったとしても住宅ローンの返済は続くため、返済計画が老後になってから破綻する可能性が高いです。

【参考】年代別の住宅ローン残高。60歳代~70歳でも残高あり

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査/2022年」をもとにLIMO編集部作成

さらに、住宅ローンの返済期間中に金利が上昇した場合、もっと返済額が高くなります。

目先の返済額が低いだけで準備するのではなく、返済できる余裕資金や、完済後も老後資金が枯渇しないか、先行きを見通して50年ローンを準備する必要があるでしょう。

2.3 利息分が大きく元金の返済割合が低い

一般的に、住宅ローンの返済方法は「元利均等返済」が用いられています。

元利均等返済だと、最初は利息の割合が大きいので、元金の減り方が遅いです。

そのため、住宅を売却する場合に売却価格よりローンの残高が少なくなる「残債割れ」の可能性があります。