4. 「厚生年金」と「国民年金」、実際の支給額は?
年金は増額となりましたが、それでも年金だけで生活できるシニアは少数派です。
厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(老齢基礎年金を含む)の支給額平均は月額で14万3973円でした。また国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は5万6316円です。
また、厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査の概況」によると「公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%」の世帯は44%と半数にも満たない数値となっています。
つまり残りの高齢者世帯は、稼働所得や財産所得、仕送りや個人年金などで生活費を補填していると推測できます。1回あたりの年金額は高額に思えますが、実際には年金だけで暮らすことは難しいようです。
さらに重要なのは、平均額が全員にあてはまるわけではないことです。それぞれの働き方や保険料の納付実績によって年金額が大きく異なるため、ねんきん定期便やねんきんネットなどでしっかり目安額を把握するようにしましょう。
5. 65歳からでも遅くない! 「資産運用」も選択肢のひとつ
これまで現状の年金受給額を確認してきました。「少ない・足りない」と感じた場合は、早急に対策を始めることが大事です。
長く働き続けて厚生年金の加入期間を伸ばすことで受給年金額をあげたり、資産運用を活用したりすることもその一つです。
資産運用においても、様々な仕組みや制度があります。元本割れのリスクこそありますが、これまでにコツコツと蓄えてきた資産の減るスピードをゆるやかにするものや、収入の一部を使って資産をやすことを期待して取り組むものなど多種多様です。
重要なことは、どの方法が自身に合っているかを見極めること。人それぞれ異なる、目標や価値観にマッチするものを選びましょう。
まずは制度の概要を把握する為にも、情報取集から始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査の概況」
盛長 健一