国内の長期金利の上昇を受けて、金融機関では住宅ローンの固定金利を引き上げる例が続いています。

すでに住宅ローンを借りている人の中には、「今後返済負担が大きくなるかもしれない」と不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

返済額が増加した場合、一部繰り上げ返済を行うことで金利負担を抑える方法がありますが、その際は住宅ローン控除で還元される金額が少なくなってしまう点に注意が必要です。

本記事では、繰り上げ返済と住宅ローン控除の優先順位の考え方について、元銀行員の筆者が解説します。

1. 金利上昇による返済額の増加にどう対応する?

長らく低金利環境が続いている日本ですが、急激な物価上昇などを受けてマイナス金利政策の解除が少しずつ現実味を帯びてきました。

金利が上昇することによって大きな影響を受けるのが、住宅ローンの返済額の増加です。

住宅金融支援機構が2023年4月に行った「住宅ローン利用者調査」では、金利上昇によって返済額が増加した場合の対応策に関するアンケートが行われています。

調査結果を見ると、変動金利で借りている人はそのまま返済を継続、固定金利の人は一部繰り上げ返済を考えている人の割合が最も多いようです。