2. 有給消化を断られるケース
退職者の有給消化も原則通常の有給取得と同じで、労働者が自分の都合で自由に取得申請でき、原則企業は申請を拒否できませんが、現実には企業に拒否されるケースがあります。
退職時の有給消化を断られる主なケースを紹介します。
2.1 ケース1.急な申し出で業務に支障がでる
1つ目のケースは、前述した「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当する場合です。
退職申し出した日から退職日までの期間が短い場合、業務に支障が出る事態もあるからです。
企業には客観的・社会通念上、合理的な理由の説明と有給取得時期の変更が求められますが、退職日までに有給取得できない可能性もあります。
有給時期を変更するために、退職時期を遅らせるケースもあるでしょう。
2.2 ケース2.引き継ぎする相手がいない
2つ目のケースは、業務を引き継ぎする相手がいないため企業が有給取得を拒否せざるを得ない場合です。
ケース1に該当するケースと違法になるケースがありますが、判断が難しいところです。
ケース1に該当しなければ労働者の権利として取得を強硬に主張することも可能ですが、勤務先ときちんと話し合って対応を決めるのが一般的です。
この場合、企業、労働者とも一定の妥協が必要になるかもしれません。
2.3 ケース3.違法な有給取得拒否
3つ目のケースは、ケース1.2に該当しない違法な有給取得拒否です。
「これまで退職前に有給を消化した人はいない」「給与を払っているのだから最後まできちんと仕事をしてもらう」などの理由で有給を断られるケースが該当します。
一般的に、企業にとっては最後まで働いてもらうほうが都合がいいため、法令遵守の意識が低い企業でみられる違法行為です。
円満に退職するために有給取得を諦めるか、労働基準監督者弁護士などに相談して会社と争うか、選択が必要になるケースもあります。