3. 二人以上世帯の貯蓄が多いからと言って油断は禁物
二人以上世帯の方が、単身世帯よりも貯蓄額は多い傾向にあります。
60歳代3000万円の達成割合、貯蓄の平均値・中央値いずれで見ても明らかです。
一方で、総務省統計局「2022年(令和4年)家計の概要」によると、65歳以上の二人以上世帯と単身世帯の月次の収支状況は【図表5】通りとなります。
仮に90歳まで25年間にわたり老後生活を送るとなると、二人以上世帯では不足額の累計が1622万円、単身世帯で988万円となる試算です。
二人以上世帯・単身世帯とも、平均値を達成していれば月々の家計の不足額は貯蓄で補える計算となります。
ただし、二人世帯の方が余裕が少なく、たとえば急病や介護費用の増大などの要因まで加味すると資産が不足するリスクが高くなるでしょう。
4. まとめにかえて
平均並みの資産を形成したからと言って、油断は禁物です。
また、中央値付近の場合には二人以上世帯・単身世帯共に資産が不足する恐れがあります。
資産形成の加速や月々の収支改善、老後も働き続けるなど何らかの対策が必要です。
参考資料
太田 彩子
執筆者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
京都教育大学卒業。株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部において、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。ニ種外務員資格(証券外務員ニ種)保有。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
はたらく世代のお金の診断・相談サービスを行うマネイロでは、「【計算例付】厚生年金保険料はどのように決まる?ケース別算出方法や受給額を解説」など、お金や年金制度にまつわる記事を発信中。京都府出身。(2024年9月4日更新)