株式会社帝国データバンクの調査によると、近年の値上げラッシュは沈静化傾向にあるものの、2023年の値上げ品目数は累計3万2189品目にのぼり、前年の水準を大きく上回る結果となりました。
物価が年々上がる現代において、将来の自分のために「投資」を検討する人が増加してきています。
本記事では、実際の調査データをもとに「物価上昇の影響による消費者動向と投資意識」について紹介していきます。
老後の平均貯蓄額や生活実態についても紹介しているので「将来のために投資を検討すべきか」の参考にしてください。
1. 9割以上の人が「物価の値上げ」を実感している
WeCapital株式会社は、25歳以上60歳未満の投資意欲のある方(主婦・主夫層含む)を対象に「物価上昇の影響による消費者動向と投資意識」に関する調査を実施しました。
調査概要は下記のとおりです。
- 調査期間:2023年11月6日(月)~2023年11月7日(火)
- 調査方法:リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「RRP」によるインターネット調査
- 調査人数:1021人
- 調査対象:調査回答時に25歳以上60歳未満の投資意欲のある方(主婦・主夫層含む)であると回答したモニター
- モニター提供元:ゼネラルリサーチ
- リリース公開日:2023年12月1日
上記調査の結果、9割以上の人が、物価の上昇を実感していると回答しています(【図表1】参照)。
物価が上がっていると感じた「具体的なエピソード」として、下記の内容が挙げられました。
- 電気代がほぼ倍になった
- 野菜が高い。食パンも高い。食品の値段高騰に驚いています
- ガソリン代がとにかく高い
食品以外にも、電気代やガソリン代など、日常で欠かせない様々なものが値上げしており、各家庭で大きな影響を与えていることがわかります。
2. 8割以上の人が物価上昇を受け「投資への関心が高まった」と回答
WeCapital株式会社の「物価の上昇を受けて、対策をしていることはありますか?」というアンケート調査では、「ポイ活」と回答した人が最も多く、次いで「貯金」「投資」が続きました。
「ポイ活」「貯蓄」といった、すぐに始められる身近な対策を行っている人が多い一方で、約4割の人が物価上昇の対策として「投資」をしていることがわかります。
また、「物価上昇を受けて、投資への関心は高まりましたか?」というアンケートでは、8割以上の人が投資への関心が高まったと回答しています(【図表2】参照)。
投資への関心が高まった理由として、「老後の生活資金を準備したいから」と回答した人が最も多く、老後に対する不安感から投資を始めた方が多いことがわかります。
金融審議会の「市場ワーキング・グループ報告書」によると、公的年金を受給しても、平均的に「老後資金が2000万円不足する」と指摘がされており、一時はこれが大きな話題になりました。
上記の話題を受け「老後資金」に不安を抱き、投資に興味を持ったり、実際に始めたりしている方が増えてきているのだとうかがえます。
3. 老後の平均貯蓄額はいくら?
前章で紹介した調査結果では、投資を検討している多くの理由として「老後資金の準備」が挙げられましたが、果たして老後までにどのくらい貯蓄をしておくのが一般的なのでしょうか。
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、世帯主が65歳以上の貯蓄額の平均値は「2414万円」で、中央値は「1677万円」となっています。
平均値は貯蓄額が極端に多い人がいた場合、その金額に偏る傾向があるため、より実態に近い貯蓄額が知りたい方は中央値を参考にすることをおすすめします。
中央値は「1677万円」であり、老後までに2000万円到達できていない人のほうが多いことがわかります。
実際に、上記グラフの割合をみると貯蓄額が2000万円以上の世帯が全体の42.5%となっており、老後2000万円問題を解決できている人は半数以下であることがみてとれます。
さらに、貯蓄額がその半分となる1000万円未満の世帯が全体の35.9%となっており、老後資金が「十分にある世帯」と「十分でない世帯」の二極化傾向になっているのが現状です。
3.1 貯蓄がなくても老後は年金だけで生活していける?
半数以上の人が、老後までに貯蓄2000万円を貯められていないことがわかりましたが、果たして貯蓄がなくても老後は生活していけるのでしょうか。
老後の主な収入源は「年金」となるため、日常の支出を年金だけで補えれば、貯蓄がなくても生活していけるでしょう。
厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(※国民年金の年金月額を含む)と国民年金の平均受給額は下記の結果となりました。
- 厚生年金の平均受給額:14万3965円
- 国民年金の平均受給額:5万6368円
厚生年金の場合は、支出を抑えた生活を送ればギリギリ年金だけで生活していけそうですが、国民年金の場合は年金だけで生活していくハードルは高いとうかがえます。
実際に、厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、100%年金だけで生活している人は、全体の44%と半数にも満たない結果となっています。
半数以上の高齢者世帯は年金だけでは生活できていないことから、安心した老後生活を送るためには、ある程度の貯蓄は必要になりそうです。
4. 今のうちから老後の資産形成をしておこう
本記事では、実際の調査データをもとに「物価上昇の影響による消費者動向と投資意識」について紹介していきました。
WeCapital株式会社の調査では、近年続く物価上昇を受けて、8割以上の人が投資への関心が高まったことが明らかになっており、その理由の多くが「老後資金」のためと回答しています。
上記のことから、多くの人が将来の老後生活に不安感を感じており、今のうちから準備をしておきたいと考えていることがわかります。
老後に備えた資産形成として投資を検討することは、有力な選択肢の1つと言えます。
近年では、NISAやiDeCoといった、投資初心者の方でも始めやすい制度も多いため、そのような制度を活用しながら老後の備えを今のうちからしておけると良いでしょう。
参考資料
- 株式会社帝国データバンク「来年の食品値上げ 1596品目 23年比8割減ペース 値上げラッシュ「当面収束」」
- WeCapital株式会社「「物価上昇の影響による消費者動向と投資意識」に関する調査」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
- 金融審議会「市場ワーキング・グループ報告書 高齢社会における資産形成・管理」
平田 依恵