60歳代世帯の貯蓄は増えた?減った? 気になるワケも確認
貯蓄の中身について見たところで、次は貯蓄の増減について確認していきましょう。
厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると60歳代の世帯主における貯蓄の増減状況は以下の通りです。
60歳代貯蓄の増減状況別世帯数の構成割合
- 増 え た:12%
- 変わらない:36%
- 減 っ た:40%
- 不 詳 :12%
60歳代の約4割が貯蓄が減ったと回答しています。自分の資産(金融資産やその他の資産)や負債の状況をよく把握していない人は、全体を確認してみてもよいかもしれません。
さらに減った理由の内訳は次の通りです。
60歳代貯蓄の減少理由(複数回答可)
- 日常生活への支出:75.8%
- 入学・結婚・旅行などの一時支出:15.6%
- 株式などの評価額減少:10.7%
- 土地・住宅の購入費:5.4%
- その他:31.1%
減った理由として、多くの60歳代世帯が「日常生活の支出」と回答。これは、生活費用を月収から賄えていない状況を意味していると考えられます。
今保有している資産やこれから貯蓄していきたい金額を「何のため、いくら取っておくか」という視点で整理してみるのもよいでしょう。
そうすることで、今余裕をもって使えるお金はどれだけあるか、確保しておくべき優先順位などが逆算されて見えてくると思います。
経済的に自立した老後を過ごせるようにプランニングを
定年前後となる60代の金融資産について数字を確認してきました。そのなかで、せっかくの貯蓄が減少傾向にある世帯が少なくないというやや厳しい現実も垣間見えます。
「人生100年時代」を前提にするのであれば、定年後のセカンドライフは30〜40年続く計算となります。まずは、退職金やそれまでの貯蓄、あるいは保有している資産をしっかりと把握していきましょう。
ライフイベントや突然の出費にも慌てる必要のない、セカンドライフを自分らしく過ごすためのマネープランや働き方を考えていきたいものです。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年 簡易生命表の概況」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯調査](令和4年)」
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
荒井 麻友子