2023年7月28日に公表された、厚生労働省「令和4年 簡易生命表の概況」によると、2022年時点での日本の平均寿命は男性が81歳、女性は87歳を超えています。まさに「人生100年時代」といわれる社会そのものです。
元号が令和に入り「老後2000万円問題」が話題となりました。
老後生活に向けていくら必要か?は世帯ごとに異なりますが、平均的なデータに基づくものとして“2000万円”という金額はいまだに一つの目安とされています。
実際に60歳代の世帯で2000万円を貯蓄する世帯はどのくらいあるでしょうか。
なんと、収支の状況に関する調査をみてみると「貯蓄が減っている」と回答する60歳代の方も少なくないのだとか。今回の記事では、60歳代の貯蓄状況についてまとめました。
60歳代「二人以上世帯」の貯蓄額をチェック!
60歳代・二人以上世帯の金融資産保有額の内訳は以下の通りです。
金融資産保有額の平均は1819万円、中央値は700万円。二人以上世帯の老後資産の目安である2000万円を超えている世帯は全体の約29%という結果となりました。
60歳前半の世帯も含まれているので、この比率そのものとは言えませんが、多くの世帯が「65歳時点で資産2000万円」を達成せず老後生活に突入する可能性があります。
では、そんな60歳代世帯の金融資産の内訳はどのような金融資産で構成されているのでしょうか。実際に詳しくみていきましょう。
60歳代の金融資産内訳で最も割合が大きいのは?
金融広報中央委員会の同資料「各種分類別データ」によると、金融資産を保有していない世帯を含めた総世帯における60代の種類別金融商品保有額は、下記表のようになりました。
《金融資産保有額:1819万円の内訳》
- 預貯金:834万円
- 金銭信託:25万円
- 生命保険:219万円
- 損害保険:27万円
- 個人年金保険:130万円
- 債券:79万円
- 株式:321万円
- 投資信託:149万円
- 財形貯蓄:16万円
- その他金融商品:20万円
60代世帯は「預貯金」が最も多く全体の4割以上を占めています。次いで「株式」、「生命保険」という結果がわかります。
また、新NISAで注目を集める「投資信託」も全体の8.2%平均データではあるものの、預貯金だけでなく、さまざまな方法で資産形成をしていることがわかります。
60歳代世帯の貯蓄は増えた?減った? 気になるワケも確認
貯蓄の中身について見たところで、次は貯蓄の増減について確認していきましょう。
厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると60歳代の世帯主における貯蓄の増減状況は以下の通りです。
60歳代貯蓄の増減状況別世帯数の構成割合
- 増 え た:12%
- 変わらない:36%
- 減 っ た:40%
- 不 詳 :12%
60歳代の約4割が貯蓄が減ったと回答しています。自分の資産(金融資産やその他の資産)や負債の状況をよく把握していない人は、全体を確認してみてもよいかもしれません。
さらに減った理由の内訳は次の通りです。
60歳代貯蓄の減少理由(複数回答可)
- 日常生活への支出:75.8%
- 入学・結婚・旅行などの一時支出:15.6%
- 株式などの評価額減少:10.7%
- 土地・住宅の購入費:5.4%
- その他:31.1%
減った理由として、多くの60歳代世帯が「日常生活の支出」と回答。これは、生活費用を月収から賄えていない状況を意味していると考えられます。
今保有している資産やこれから貯蓄していきたい金額を「何のため、いくら取っておくか」という視点で整理してみるのもよいでしょう。
そうすることで、今余裕をもって使えるお金はどれだけあるか、確保しておくべき優先順位などが逆算されて見えてくると思います。
経済的に自立した老後を過ごせるようにプランニングを
定年前後となる60代の金融資産について数字を確認してきました。そのなかで、せっかくの貯蓄が減少傾向にある世帯が少なくないというやや厳しい現実も垣間見えます。
「人生100年時代」を前提にするのであれば、定年後のセカンドライフは30〜40年続く計算となります。まずは、退職金やそれまでの貯蓄、あるいは保有している資産をしっかりと把握していきましょう。
ライフイベントや突然の出費にも慌てる必要のない、セカンドライフを自分らしく過ごすためのマネープランや働き方を考えていきたいものです。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年 簡易生命表の概況」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯調査](令和4年)」
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
荒井 麻友子