3. 年金から天引きされる4つのお金
厚生年金の平均月額が約14万円、65歳以上の無職世帯の一人当たりの消費支出は約11万円〜14万円であることから、「年金だけでも生活していけるのでは?」と思った方もいるかもしれません。
しかし厚生年金や基礎年金といった公的年金は、額面通りの金額が全て受給できるわけではありません。
年金は現役時代の給与と同様に「収入」に該当するため、先ほど紹介した額面から税金や社会保険料が「天引き」された状態で振り込まれます。
そのため、厚生年金で約14万円を受給予定であったとしても、実際に受け取れる年金月額はこれよりも少なくなるので留意しておきましょう。
厚生年金・国民年金から天引きされるお金は、下記4種類となっています。
- 所得税および復興特別所得税
- 個人住民税
- 介護保険料
- 後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)
3.1 所得税および復興特別所得税
公的年金額を一定以上受け取る場合、「所得税」および「復興特別所得税」が課税され、年金から源泉徴収されます。
「所得税」および「復興特別所得税」は、額面から社会保険料と各種控除額を差し引いた額に5.105%の税率を掛けた額が課税されます。
ただし、「障害年金」と「遺族年金」の場合は非課税となるため、あわせて留意しておきましょう。
3.2 個人住民税
65歳以上で、前年中の所得が一定以上の場合は、個人住民税(市民税・県民税)が天引きされます。
ただし「個人住民税」も先ほどと同様に、障害年金と遺族年金の場合は非課税となります。
3.3 介護保険料
原則として年金の支給額が18万円以上の人は、年金が受給できる65歳以上になっても、年金から天引きする形で徴収され続けます。
なお、65歳になると介護保険料は健康保険料とは別に単独で支払うことになるため、留意しておきましょう。
また、「介護認定をされたら介護保険料の支払いは終了する」とよく勘違いされますが、介護保険料は一生涯続くため、こちらも覚えておけると良いです。
3.4 後期高齢者医療保険料・国民健康保険料(税)
年間の年金支給額が18万円以上の人は「介護保険料」と同様に「健康保険料」も年金から天引きされます。
65歳から75歳未満の人は原則として「国民健康保険料」が天引きされ、75歳以上になると「後期高齢者医療保険料」という健康保険に加入し、こちらも年金から天引きされます。
留意点として、「国民健康保険料」と「後期高齢者医療保険料」はどちらか1つの加入となるため、上記2つが同時に保険料が天引きされることはありません。
実際に天引きされる上記4つのお金は、6月上旬に送付される「年金振込通知書」で確認できるため、気になる方は一度みてみると良いでしょう。