高年齢者雇用安定法の改定により70歳までの就業機会が確保されるなど、長く働く環境の整備が行われています。
人生100年時代と長生きの時代ですから、働く高齢者の数も増えています。
働いて一定の収入を得れば厚生年金保険の加入が義務付けられていますが、長く加入すると上乗せされるケースがあります。
年金は受け取るまでに時間を要するため、実際の細かな制度をご存知の方は少ないでしょう。そこで今回は「厚生年金の長期加入者特例」など、年金の制度についてくわしく解説を行います。
1. 厚生年金保険に加入できる人とは【加入資格】
まずは厚生年金に加入できる人の条件を整理しましょう。
厚生年金とは公的年金のひとつで、会社員や公務員などの被用者が加入できる年金です。
国民年金(基礎年金)の上乗せという位置づけとなるため、2階建て構造と言われています。
図のような二階建てをイメージするとわかりやすいでしょう。
厚生年金に加入できれば、将来は「老齢基礎年金」+「老齢厚生年金」が受給できることになります。国民年金だけに加入するよりも、将来の年金額は手厚くなるのが一般的です。
また正社員以外のパートやアルバイトでも、厚生年金に加入できる条件があります。
「特定適用事業所」「任意特定適用事業所」または「国・地方公共団体に属する事業所」に勤務する、通常の労働者の1週間の所定労働時間または、1月の所定労働日数が4分の3未満である方で、以下の1から3のすべてに該当する方が対象です。
- 週の所定労働時間が20時間以上あること
- 賃金の月額が8万8000円以上であること
- 学生でないこと
「老齢厚生年金」を受給するには、国民年金(老齢基礎年金)の受給資格期間を満たす必要があります。