2. 特別支給の老齢厚生年金とは
厚生年金の長期加入者特例は、特別支給の老齢厚生年金として報酬比例部分しかもらえない世代の方のうち、厚生年金の被保険者期間が44年以上ある方に上乗せされる特例となります。
そのため、この章では特別支給の老齢厚生年金について整理します。
以前は厚生年金保険の受給開始年齢が60歳でした。ここから65歳に引き上げられたことを受け、現在は受給開始年齢を徐々に引き上げている段階です。
そこで設けられたのが「特別支給の老齢厚生年金」です。「特別支給の老齢厚生年金」が受け取れるのは次の方です。
- 男性:1961年(昭和36年)4月1日以前に生まれた
- 女性:1966年(昭和41年)4月1日以前に生まれた
- 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)がある
- 厚生年金保険等に1年以上加入していた
- 生年月日に応じた受給開始年齢に達している
ただし、在職中の方は報酬によって年金額が支給停止となる場合があります。
そのため、一部の世代は報酬比例部分しか受け取れないことになります。
ただし特例として、厚生年金保険の被保険者期間が44年以上の方(被保険者資格を喪失(退職)しているときに限る。)は、報酬比例部分の受給開始年齢から報酬比例部分と定額部分を合わせた「特別支給の老齢厚生年金」が受給できるのです。
3. 厚生年金の被保険者期間が44年以上ある人の長期加入者特例とは
長期加入者特例は、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給を受けている人のうち、厚生年金の被保険者期間が44年以上ある方が対象となります。
厚生年金保険の被保険者期間には、
- 日本年金機構の管理する厚生年金保険被保険者期間
- 公務員共済組合に加入している厚生年金保険被保険者期間
- 私学共済に加入している被保険者期間
のいずれか一つの期間のみで44年以上ある場合に限ります。それぞれの期間を合算して44年になっても、対象にはならない点に注意しましょう。
また、厚生年金保険に加入して被保険者となっている場合も対象外です。 長期加入者の特例により定額部分が発生した後に、厚生年金保険に加入し被保険者となった場合、定額部分(加給年金額を含む)の支払いは停止します。
男性の場合、すでに報酬比例部分の支給開始年齢は64歳となり、いずれ廃止されます。女性は2030年度を予定されているため、要件にあてはまれば上乗せの金額が受け取れるということになります。
いずれにしても対象者は限られるため、対象になるか不明な場合はお近くの年金事務所等に相談してみましょう。