2025年、いわゆる「団塊の世代」が全て75歳以上の後期高齢者となります。その子ども世代も含め、介護を自分ごととして捉える人も増えていくでしょう。

介護が必要になるタイミングは、突然やってくることも珍しくありません。

核家族化や少子化の進行により「遠距離介護」「ダブルケア」「老老介護」なども増えるいま。介護費用をどうまかなうかは、事前に家族で共有しておきたいものです。

今回は、介護が必要となった場合の「費用」について、意識調査や公的資料をもとに整理します。最後に、いまのシニア世代の老齢年金や貯蓄に関するデータにも触れます。

トイレ等の介助が必要になったら「介護費用はどうする?」

さいしょに、内閣府の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果(※)」から、将来排せつなどの介護が必要となった時の、介護費用のまかない方に関する質問への回答結果を見ていきます。

※内閣府「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」※
調査対象:施設入所者を除く全国の65歳以上の男女合計4000人

介護費用は「年金などからまかなう」の回答が約6割

  • 年金等の収入でまかなう:63.8%
  • 貯蓄でまかなう:18.3%
  • 収入や貯蓄ではまかなえないが、資産を売却するなどして自分でまかなう:3.1%
  • 子などの家族・親戚からの経済的な援助を受けることになると思う:4.3%
  • 特に考えていない:8.3
  • 不明・無回答:2.2

調査結果によると、排泄などの介護が必要となった場合、63.8%の人が「年金等の収入でまかなう」と回答しています。

「貯蓄でまかなう(18.3%)」「資産を売却する(3.1%)」と合わせると、介護費用を自分自身の資産から捻出すると答えた人は85.2%という結果になりました。

介護にかかるお金、みんなの平均額はいくら?

介護にかかるお金についても見ていきます。

生命保険文化センターが公表した「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」から、介護費用、および介護期間の平均データをピックアップしましょう。

介護にかかる「お金や期間」みんなの平均は?

介護にかかるお金「一時的な費用の合計」だけで約74万円

※公的介護保険サービスの自己負担費用を含む

出所:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査

  • 一時的な費用の合計【平均額】:74万円

出所:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査

  • 月々の費用【平均額】:在宅介護4万8000円、施設介護12万2000円

介護期間は平均61.1カ月

出所:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査

  • 平均61.1カ月(5年1カ月)

平均的な介護期間は約5年。一時的な費用の合計と月々の費用の合計を足し上げると、在宅介護で約370万円、施設介護で約820万円となります。

ただしこれは「かかった(支払った)費用がない」ケースを0円として計算した結果の平均額。

在宅介護の場合は、家族と同居しているかどうかでも変わります。施設介護の場合は、公的施設(特別養護老人ホームなど)か、民間施設(有料老人ホームなど)かで大きく差が出るでしょう。

公的施設の代表格である「特別養護老人ホーム(特養)」にかかる費用は、所得によって変わりますが、概ね0円~15万円程度です。費用が安く人気が高いため、入居待機者が多い点がデメリット。また、医療依存度が高い場合などは入所ができないケースもあります。

一方、有料老人ホームに入所した場合、介護費用だけでひと月20万円を超えるケースは珍しくありません。

次では、40歳代~60歳代の「親の施設入居のお金」に関する意識調査の結果も見ていきましょう。