高齢世帯の「老齢年金・貯蓄」みんなの平均はいくら?
最後に今のシニアの「老齢年金」と「貯蓄(金融資産保有額)」に関するデータも見ておきましょう。
70歳代~90歳以上の「老齢年金」平均月額
厚生労働省が公表する「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、老齢年金の平均月額についても見てみましょう。
国民年金(基礎年金)受給者なら5万円台
- 70歳~74歳:5万7127円
- 75歳~79歳:5万6100円
- 80歳~84歳:5万6607円
- 85歳~90歳:5万5921円
- 90歳以上:5万1382円
厚生年金保険(第1号)受給者であれば14万円~16万円台(※)
※国民年金(老齢基礎年金)を含む
- 70歳~74歳:14万4357円
- 75歳~79歳:14万8293円
- 80歳~84歳:15万7,500円
- 85歳~90歳:16万1541円
- 90歳以上:16万460円
平均月額は、国民年金(基礎年金)だけを受け取る場合で5万円台、厚生年金(国民年金を含む)を受け取れる場合で14万円台から16万円台です。
70歳代世帯の貯蓄事情
貯蓄に関するデータも見てみましょう。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査 令和4年調査結果」によると70歳代世帯の金融資産保有額は以下の通りです。
- 二人以上世帯:平均1906万円・中央値800万円
- 単身世帯:平均1433万円・中央値485万円
平均は二人以上世帯で1906万円、単身世帯で1433万円。しかしこれは「貯蓄0円世帯」から、一部の富裕層までを含めた、あくまでも平均額。
より実態に近い中央値を見ると、二人以上世帯は800万円、単身世帯は485万円にまで下がります。
年金・貯蓄で介護費用はまかなえる?
資産状況や年金額は、もちろん世帯によって異なります。
介護にかかるお金もしかり。頼れる家族が遠方住まいで施設入所が早まるケースもあるでしょう。また、専門的な医療ケアが必要となる場合、費用の安い公的施設での受け入れが難しくなる可能性も。
最適な介護のスタイルは人それぞれ。住まいの環境や家族構成、そして何より介護を受ける人の健康状態や性格によって異なります。
「資産が枯渇しない介護プラン」という視点から考えていくことも大切でしょう。
まとめにかえて
介護費用に関する意識調査の結果や、今のシニア世代の老齢年金と貯蓄事情を整理しました。
介護される(予定)側としては、「健康寿命」と「資産寿命」をセットでのばす心構えを持っていたいものですね。
介護する側の立場で考えれば、親の健康状態や資産状況について把握しておくことがとても大切です。介護保険や高額介護サービス費を始めとする公的制度へのアンテナも張っておきましょう。
また、介護休業制度や介護休暇制度など、介護と仕事を両立するしくみについては、ぜひ知っておくと良いでしょう。突然やってくる「まさかのとき」のフットワークが、多少は軽くなるかもしれません。
参考資料
- 厚生労働省「我が国の人口について」
- 内閣府「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」
- 生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」
- 株式会社ファミトラ【敬老の日 調査】8割の人が「親の介護施設入居には親の資産をあてにしている」にもかかわらず、7割の人が「認知症になると親名義の不動産の売却ができなくなる可能性があることを知らない」実態があきらかに(PR TIMES)
吉沢 良子