日本人のボリュームゾーンである年収400万円の人は、独身であればどのくらい貯蓄できるでしょうか。
平均的な収入で子供の教育にお金がかからなければ、十分な貯蓄ができていると考えられます。
今回は、年収400万円の人の貯蓄の実態を紹介し、どのくらい貯蓄したらいいかを考えてみます。
年収400万円独身の人の平均貯蓄額は?
年収400万円で独身の人は、実際のところいくら貯蓄があるのでしょうか。
以下は金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」による、年収300万円から500万円未満の単身者の貯蓄額の分布です。
- 貯蓄なし:25.2%
- 100万円未満:13.7%
- 100万円~200万円:9.3%
- 200万円~300万円:5.6%
- 300万円~400万円:5.8%
- 400万円~500万円:3.7%
- 500万円~700万円:7.1%
- 700万円~1000万円:5.5%
- 1000万円~1500万円:6.8%
- 1500万円~2000万円:2.3%
- 2000万円~3000万円:5.0%
- 3000万円以上:8.4%
- 平均額:796万円
- 中央値:200万円
年収300万円から500万円で独身の人の貯蓄額にはばらつきがあり、貯蓄なしの人は4分の1以上であることがわかりました。
平均額796万円に対し、中央値は200万円と貯蓄が少なめの人が多い実態が浮かび上がります。
年間手取り収入からどのくらいの割合を貯蓄に回している?
次に、年収400万円で独身の人が、年間の手取り収入から貯蓄に回すお金の割合を見てみましょう。
以下は、同じ調査で年収300万円から500万円未満の単身者が年間の手取り収入を貯蓄に回す割合の分布です。
- 5%未満:4.9%
- 5%~10%:12.9%
- 10%~15%:22.8%
- 15%~20%:3.4%
- 20%~25%:12.9%
- 25%~30%:3.0%
- 30%~35%:7.7%
- 35%以上:12.3%
- 貯蓄しない:20.0%
- 平均:16%
年収を貯蓄に回す割合の平均は16%で、収入を貯蓄に回さない人が20%いることがわかりました。
分布を確認すると、10%から15%の割合が多めですが、35%以上を貯蓄する人も10%超いることがわかります。
貯蓄ができるかできないかの事情には個人差がありますが、年収の30%以上の貯蓄も決して無理ではないと知っておきましょう。
年収400万円で独身の人は毎月いくら貯蓄すればいい?
年収400万円で独身の人の平均的な貯蓄額がわかったところで、理想的な貯蓄額を考えてみましょう。
一人暮らしの1カ月間の支出は?
総務省の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、単身世帯の1カ月間の支出の平均は、以下のようになっています。
- 食費:4万301円
- 住居:3万2314円
- 光熱・水道:1万1138円
- 家具・家事用品:5267円
- 被服および履物:6714円
- 保健医療:6847円
- 交通・通信:2万2766円
- 教養娯楽:2万1046円
- その他の消費支出:3万2039円
- 消費支出合計:17万8434円(年間214万1208円)
年収400万円で独身の人はいくら貯蓄できるか
一人暮らしの毎月の支出から、年収400万円で独身の人はいくら貯蓄できるかを考えてみます。
年収400万円の人の手取りは、基礎控除以外の控除がない給与所得者であれば約320万円です。
手取り収入から年間の消費支出214万円を差し引いた残りは106万円(月額約9万円)で、手取り年収の約33%となります。
つまり、一人暮らしの人でも、手取りの約3分の1は貯蓄に回せるわけです。
実家暮らしの人であれば、食費や住居費はほとんどかかりません。
仮に毎月3万円を実家に入れたとしても、一人暮らしの人より3万円から4万円は多く貯蓄できるでしょう。つまり、毎月12万円くらいは貯蓄できそうです。
独身の人が貯蓄をする方法
数字上では毎月10万円前後貯蓄できるといっても、今まで貯蓄してこなかった人には難しいと感じられるでしょう。
しかし、頼る人のいない独身者にとって貯蓄は必要不可欠であり、貯蓄の習慣はぜひとも身につけたいものです。
そこで、活用したいのが、自動的に積み立てできる制度です。毎月決まった金額を積み立てる制度を利用すれば、貯蓄が苦手な人でも無理なくお金を貯められます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは個人が任意で加入する公的年金の上乗せのための制度です。加入者が掛金を自分で運用し、60歳以降に年金資産を受け取ります。
iDeCoの掛金上限は加入者の公的年金の被保険者種別や、勤務先の企業年金制度の導入状況によって異なります。
独身の人はできるだけ上限に近い金額で掛金を設定するとよいでしょう。iDeCoの加入は原則として60歳までですが、60歳以降も厚生年金に加入して働く人や国民年金に任意加入する人は64歳まで加入できます。
iDeCoは運用中の利益には、課税されず再投資されます。受け取り時は一時金か年金の受け取り方によって、税金のかかり方が異なります。どちらが有利かは個人の状況によって異なるので、慎重に考えましょう。
NISA(少額投資非課税制度)
NISAは投資によって得られた利益が非課税となる制度です。2024年からは、抜本的に拡充された新しい制度になります。
新しいNISAでは、非課税で投資できる金額が大幅に増えます。会社員の場合、iDeCoの掛金は最高でも2万3000円ですが、NISAは1年間に360万円まで非課税投資が可能です。
たとえば、NISAとiDeCoで毎月10万円積み立てる場合、iDeCoを2万3000円、NISAを7万7000円と振り分けてもよいでしょう。
iDeCoとNISAを利用して、毎月10万円ずつ年率2.0%で積み立てた場合の運用期間ごとの資産額は以下のとおりです。なお、計算は金融庁の資産運用シミュレーションを使用します。
- 10年:1327万1966円(運用益127万2000円)
- 20年:2947万9683円(運用益548万円)
- 30年:4927万2539円(運用益1327万3000円)
運用期間が長いほど、資産は大きく増えることがわかります。これは複利効果といって、運用益が元本に組み込まれて徐々に得られる利益も増えていくためです。
あくまで試算であり、損をする可能性もありますが、長期の目線で運用していくとまとまった資産形成を期待できます。
独身のメリットを活かして貯蓄に励みましょう
年収400万円で独身であれば貯蓄もそれなりにある人が多いわけでなく、できていない人もいることがわかりました。
お金が自由に使えると、支出の管理が甘くなる人もいるかもしれません。しかし、老後や病気になったときに蓄えがないと、生活が成り立たなくなる可能性があります。
貯蓄が苦手な人も家計を見直して、決めた金額をiDeCoやNISAに回してはいかがでしょうか。貯蓄に回した残りで生活する習慣をつければ、徐々に資産は増えていくでしょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
- 総務省の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」
- 国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」
- 金融庁「新しいNISA」
松田 聡子