独身の人が貯蓄をする方法
数字上では毎月10万円前後貯蓄できるといっても、今まで貯蓄してこなかった人には難しいと感じられるでしょう。
しかし、頼る人のいない独身者にとって貯蓄は必要不可欠であり、貯蓄の習慣はぜひとも身につけたいものです。
そこで、活用したいのが、自動的に積み立てできる制度です。毎月決まった金額を積み立てる制度を利用すれば、貯蓄が苦手な人でも無理なくお金を貯められます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは個人が任意で加入する公的年金の上乗せのための制度です。加入者が掛金を自分で運用し、60歳以降に年金資産を受け取ります。
iDeCoの掛金上限は加入者の公的年金の被保険者種別や、勤務先の企業年金制度の導入状況によって異なります。
独身の人はできるだけ上限に近い金額で掛金を設定するとよいでしょう。iDeCoの加入は原則として60歳までですが、60歳以降も厚生年金に加入して働く人や国民年金に任意加入する人は64歳まで加入できます。
iDeCoは運用中の利益には、課税されず再投資されます。受け取り時は一時金か年金の受け取り方によって、税金のかかり方が異なります。どちらが有利かは個人の状況によって異なるので、慎重に考えましょう。
NISA(少額投資非課税制度)
NISAは投資によって得られた利益が非課税となる制度です。2024年からは、抜本的に拡充された新しい制度になります。
新しいNISAでは、非課税で投資できる金額が大幅に増えます。会社員の場合、iDeCoの掛金は最高でも2万3000円ですが、NISAは1年間に360万円まで非課税投資が可能です。
たとえば、NISAとiDeCoで毎月10万円積み立てる場合、iDeCoを2万3000円、NISAを7万7000円と振り分けてもよいでしょう。
iDeCoとNISAを利用して、毎月10万円ずつ年率2.0%で積み立てた場合の運用期間ごとの資産額は以下のとおりです。なお、計算は金融庁の資産運用シミュレーションを使用します。
- 10年:1327万1966円(運用益127万2000円)
- 20年:2947万9683円(運用益548万円)
- 30年:4927万2539円(運用益1327万3000円)
運用期間が長いほど、資産は大きく増えることがわかります。これは複利効果といって、運用益が元本に組み込まれて徐々に得られる利益も増えていくためです。
あくまで試算であり、損をする可能性もありますが、長期の目線で運用していくとまとまった資産形成を期待できます。
独身のメリットを活かして貯蓄に励みましょう
年収400万円で独身であれば貯蓄もそれなりにある人が多いわけでなく、できていない人もいることがわかりました。
お金が自由に使えると、支出の管理が甘くなる人もいるかもしれません。しかし、老後や病気になったときに蓄えがないと、生活が成り立たなくなる可能性があります。
貯蓄が苦手な人も家計を見直して、決めた金額をiDeCoやNISAに回してはいかがでしょうか。貯蓄に回した残りで生活する習慣をつければ、徐々に資産は増えていくでしょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
- 総務省の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」
- 国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」
- 金融庁「新しいNISA」
松田 聡子