2. 10月から手取り額が減るケース3つ
冒頭でも触れたように、年金は偶数月に振り込まれますが、10月に受け取る年金額が8月まで受給していた金額よりも減るケースがあります。急に減額されると驚いてしまう方もいるでしょう。
手取り額が減る理由として次の3つのケースが考えられますので、ひとつずつ確認していきましょう。
2.1 前年の所得が前々年の所得よりも増えた方
国民健康保険料や住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、所得が増えると納付する保険料や税金も高くなります。
また、介護保険料は住民税が計算されてから決まるため、所得の増減の影響を受けるといえます。
所得が増えるケースとして、年金を受給しながら働いて収入を得た場合や、投資信託や不動産売買で臨時収入を得た場合などが挙げられます。
所得が増えた後の保険料や税金が反映されるのは10月支給分からとなるため、8月支給分と10月支給分とで手取り額が異なるケースが出てくるのです。
2.2 年金の受取開始1年目の方
年金受給を開始した1年目の方の保険料や税金は、10月から天引きが開始されます。それまでは天引きでなく、普通徴収(納付書によって納める方法)により保険料や税金を納めます。
これまで納付書を利用して市区町村役所や金融機関の窓口で支払っていたものが年金から天引きされることになるため、年金の手取り額が減少することになるのです。
2.3 「仮徴収」から「本徴収」に切り替わるため
年金から天引きされる金額は、8月までは「仮徴収」ですが10月分からは「本徴収」に切り替わるため、金額が異なる原因になります。
国民健康保険料や住民税、介護保険料は年度ごとに金額が計算され、前年度から継続して年金受給している方は、原則として当年度の4月・6月・8月分は前年度の2月分と同じ金額を納めます(「仮徴収」といいます)。
そして、10月・12月・翌年2月分は、前年の所得などをもとに今年度の年間の保険料や税額を計算し、そこから仮徴収で納めた分を差し引いて、10月・12月・翌年2月分の3回に分けて納めます(「本徴収」といいます)。
この、仮徴収から本徴収に切り替わるタイミングが10月支給分からなので、8月支給分までと金額が異なるケースが出てくるのです。
2.4 10月から「年金振込通知書」が送付される
保険料や税金などが変更になるため年金の振込額が10月から変更される方に対し、「年金振込通知書」が送付されます。
なお、「ねんきんネット」の画面でも振込通知書の内容が確認できます。
年金から天引きされる保険料や税金に関してわからないことがある場合は、お住まいの市区町村に問い合わせましょう。
3. 年金振込通知書やねんきんネットで10月からの振込額の確認を
厚生年金や国民年金からは、介護保険料や国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、住民税などが天引きされます。そのため、手取り金額は額面よりも少なくなることが一般的です。
ただし、天引きはすべての方が対象になるわけではなく、要件を満たしている方のみが対象となります。
10月からは保険料の金額が変更になるケースがあるため、8月分までの金額よりも減額される可能性が出てきます。
金額が変更になる方には「年金振込通知書」が送付されますので、届いた際には忘れずに確認しましょう。
参考資料
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 日本年金機構「介護保険料、後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)、住民税が、年金から天引き(特別徴収)されているのですが、やめることはできませんか。」
- 藤沢市「国民健康保険料の特別徴収(年金からの天引き)について」
- 埼玉県後期高齢者医療広域連合「保険料の納め方」
- 総務省「地方税制度|公的年金からの特別徴収」
- 日本年金機構「「ねんきんネット」による年金支払いに関する通知書の確認」
木内 菜穂子