次回の年金支給日は2025年8月15日です。近年の物価上昇により日常の支出がかさむなか、支給日を心待ちにしているシニア世帯も少なくないでしょう。
実際、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が実施した「家計の金融行動に関する世論調査2024年」によると、60歳代・70歳代の二人以上世帯のうち、年金だけで「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と感じている人が3割以上にのぼることが明らかになりました。
多くの高齢者が「年金にゆとりがない」と感じている背景には、次のような要因があります。
- 食料品や光熱費など生活必需品の物価上昇
- 高齢化による医療費や介護費の自己負担増
- 増税や社会保険料の実質的な負担増加
2025年度は年金額が引き上げられていますが、物価上昇率を考慮すれば実質的な購買力はむしろ低下しているのが現実です。今後もインフレが継続すれば、年金生活を取り巻く環境はさらに厳しさを増す可能性があるでしょう。
本記事では、厚生年金と国民年金の受給額が「月額20万円以上の人」と「月額10万円未満の人」の割合について見ていきます。
現代のシニアが直面する年金の実態を把握し、将来の生活設計を考えるきっかけにしましょう。
1. 【国民年金+厚生年金】「月額10万円未満の人」「月額20万円以上の人」どちらが多い?
厚生年金の受給権者1605万4729人のうち、「月額10万円未満の人」と「月額20万円以上の人」の割合を見てみましょう。
1.1 「国民年金+厚生年金」月額10万円未満の受給権者数
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
国民年金と厚生年金を合わせて「月額10万円未満の人」は、厚生年金受給権者全体の約21.2%を占めています。
1.2 「国民年金+厚生年金」月額20万円以上の受給権者数
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
※国民年金部分を含む
あくまで厚生年金(基礎年金部分を含む)の受給権者に限った場合ですが、月額20万円(年額240万円)以上を受給している人の割合は約16.3%にとどまります。
「月額10万円未満」の受給者のほうが多いというのが実情です。
なお、国民年金のみを受給している約3345万人を含めれば、「月額10万円未満」の割合はさらに高まると考えられます。
1.3 《参考》
- 10万円未満の割合:約21.2%
- 10万円以上の割合:約78.8%
- 15万円以上の割合:約47.6%
- 20万円以上の割合:約16.3%
- 20万円未満の割合:約83.7%
- 30万円以上の割合:約0.09%
2. 現役時代の「収入・加入期間・働き方」などによって年金額が大きく変わります
厚生年金と国民年金を合わせると、「月額10万円未満」の受給者のほうが「月額20万円以上」の受給者よりも多いことがわかりました。
厚生年金の受給額には大きな個人差があり、現役時代の収入や加入期間、働き方によって「1万円未満」から「30万円以上」まで幅があります。
年金だけでは生活費をまかないきれないケースもあるため、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用して自身の見込年金額を把握し、老後に備えた具体的な資金計画を立てることが重要です。
2.1 《参考》国民年金の受給額ごとの人数
- 1万円未満:5万8811人
- 1万円以上~2万円未満:24万5852人
- 2万円以上~3万円未満:78万8047人
- 3万円以上~4万円未満:236万5373人
- 4万円以上~5万円未満:431万5062人
- 5万円以上~6万円未満:743万2768人
- 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
- 7万円以上~:227万3098人
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
加藤 聖人