2023年も9月を迎え、今年もいよいよ残り4か月となりました。

筆者は普段から資産運用の相談を数多く受けますが、ここ最近、最もホットな話題は「新NISA」です。

2024年から、現行の「一般NISA・つみたてNISA」が形を変え、「新NISA」として生まれ変わることになっています。

相談者の話をよくよく聞いてみると、みなさん「老後が心配だ」とのこと。

特に年金に対する不安は大きいようで、「自分で何とかしなければ」と思い、行動に移そうとしている方が増えているように感じます。

いま実際に老齢年金を受給している人は、どれくらい受け取っているのでしょうか。

本当に年金だけで老後を乗り切るのは難しいのでしょうか。

そこで今回は、いま年金を受け取っている60歳以上の人にスポットを当て、厚生年金や国民年金の受給額についてみていきたいと思います。

1. 日本の公的年金制度の仕組みを確認

日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2つの制度で構成されています。

どちらの年金に加入するかによって、老後に受給できる年金額が10万円以上違ってくるケースもありますので、まずは年金制度の仕組みから確認していきます。

国民年金と厚生年金は「2階建て」といわれる構造になっており、1階部分が「国民年金」、2階部分に「厚生年金」があります。

1.1 国民年金:1階部分

「国民年金(基礎年金)」は、原則、日本国内に住む20歳から60歳未満の全ての人が加入する年金です。

国民年金の保険料は、全員一律となっており、毎年見直しが行われます。20歳から60歳になるまでの40年間(480カ月)、全ての保険料を納めた場合に「満額」が支給されます。もし未納期間がある場合には満額から差し引かれる仕組みです。

ご参考までに、2023年度の国民年金の保険料は1万6520円、満額の年金額は6万6250円(67歳以下の新規裁定者)となっています。

1.2 厚生年金:2階部分

2階部分に位置する厚生年金は、基礎となる国民年金に上乗せして加入する年金です。

厚生年金の保険料は、毎月の給与や賞与などの報酬によって決定し、事業所と折半して負担します。給与や賞与から天引きする形で保険料を納めます。

老後に受け取る年金額は、この保険料と年金加入期間によって決定。国民年金(老齢基礎年金)に加えて支給されるため、一般的に国民年金より年金額が多くなります。

主に会社員や公務員が対象となる厚生年金は、年金加入期間の長さと、現役時代の年収に比例する仕組みです(上限あり)。