3. 65歳以上の夫婦の貯蓄事情

では最後に、65歳以上の夫婦世帯の貯蓄割合について見ていきましょう。

総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、65歳以上の夫婦世帯の貯蓄割合は下記の結果になりました。

貯蓄保有世帯の平均値は「2414万円」である一方で、中央値は「1677万円」となっています。

平均値は「全てのデータを足したあとにデータ数で割った値」となっており、貯蓄額が極端に多い人がいた場合、平均値がその金額に偏る傾向があります。

一方で中央値は、対象となるデータを小さい順に並べた時に中央にある値を指していることからより実態に近く、一般的な貯蓄額が知りたい方は中央値を参考にすると良いでしょう。

中央値をみると「1677万円」となっており、老後に向けた資金を貯蓄している人はそれなりに多いとうかがえます。

しかし、貯蓄額が2000万円以上の世帯が全体の約4割 (42.5%)を占めている一方で、貯蓄額が300万円未満の世帯が全体の約1割(14.4%)となっています。

上記から、老後のために資金が十分にある世帯と、十分でない「老後貧乏」の世帯も存在している実態がみてとれます。

4. 夫婦で老後生活を安心して過ごすために今やっておきたいこと

本記事では、65歳以上の「無職の夫婦世帯」の年金・貯蓄・支出について紹介していきました。

年金受給額だけでは、老後生活を年金だけでまかなうのはハードルが高く、実際に半数以上の人が100%年金だけで暮らしていけていないのが実情です。

老後の生活費をまかなうために、現役を引退した後も就労するシニア世代は多いです。

しかし、高齢になると突然病気やケガを伴うリスクが高くなることから、今のうちから老後に向けて貯蓄しておくのが、安心材料の1つになり得るでしょう。

近年では、NISAやiDeCoといった比較的始めやすい資産運用の制度もあることから、自分に合った貯蓄方法を選択し、老後に向けて今から準備を進めていきましょう。

参考資料

太田 彩子