もし標準報酬月額の等級が上がったら損なのか?
もし4月・5月・6月の残業が多くなり、標準報酬月額の等級が上がってしまったら、1年間、高い等級の保険料を負担することになってしまいます。
そうなれば、手取り額が減るので「損した…」ように感じますが、本当でしょうか。
たとえば健康保険の給付には、病気やケガで会社を休む場合に受け取る「傷病手当金」や、妊娠・出産で会社を休む時に受け取る「出産手当金」などの所得補償があります。
傷病手当金や出産手当金は、標準報酬月額をもとに計算されます。
また、厚生年金保険からの給付には、老齢年金や障害年金、遺族年金があり、これらの年金を受け取る場合も、もとになるのは標準報酬月額です。
そう考えれば、もし、標準報酬月額が高くなったとしても、損するばかりではないことがわかります。
9月や10月の給与明細に注目
社会保険料のしくみをおさらいしました。
手順や制度を正しく理解し、給与明細で手取り額も確認するようにしましょう。
- 残業時間の計算は自分の会社では4・5・6月ではなく3・4・5月なのかもしれないこと
- 4・5・6月に給料が多いことは損だけではないこと
- 社会保険料の変更は10月支給の給料からかもしれないこと
を確認しておいてください。
参考資料
- 日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」
- 全国健康保険協会 協会けんぽ「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
- 日本年金機構「標準報酬月額の対象となる報酬とは何ですか。」
- 日本年金機構「複数月単位で従業員に支給した通勤手当は、報酬月額に含めますか。」
舟本 美子