物価上昇により、家計が苦しいと感じられている方もいるでしょう。

こうした状況を受けて、政府は物価高に対応するため、さまざまな給付金制度を設けています。

ただし、すべての人が対象になるわけではなく、「住民税非課税世帯」だけが対象となる給付金もあります。

今回は、「住民税非課税世帯」について詳しく解説していきます。対象となるにはどんな条件があるか見ていきましょう。

1. 住民税非課税世帯対象の給付金にはどんなものがあった?施策をおさらい

2024年11月22日に「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」が閣議決定されました。

12月に可決・成立した2024年度補正予算には、物価高騰の影響を受けやすい低所得者世帯、特に「住民税非課税世帯」を対象とした給付金が盛り込まれています。

給付作業は各自治体が担当し、給付額は1世帯あたり3万円です。18歳以下の児童がいる世帯には、児童1人あたり2万円が加算されます。

例えば、「夫婦+対象となる子ども2人」の世帯であれば、支給額は合計7万円です。

この給付金の対象となるのは「住民税非課税世帯」です。

多くの自治体で申請期限を迎え、すでに給付を終了している自治体もありますが、東京都江東区など一部の自治体では、申請期限を7月31日(木)に設定しているところもあります。

給付金の申請方法や申請期限、細かい支給要件などは市区町村により異なります。お住まいの自治体の最新情報を、ホームページや広報誌などでご確認ください。LIMOでは個別のお問い合わせへのお答えはいたしかねます。

次章では住民税についておさらいし、「住民税非課税世帯」の要件について詳しく解説します。

2. 住民税非課税世帯とは

まずは住民税の仕組みを確認し、住民税非課税世帯となる要件を見ていきましょう。

2.1 <住民税の基本知識>住民税は「均等割」と「所得割」の2層構造

住民税は「均等割」と「所得割」の2層構造2/7

個人住民税のしくみ

出所:総務省「個人住民税」

住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に支払う地方税です。地方自治体の重要な財源であり、公共サービスやインフラ整備に使われます。

個人住民税は、均等割と所得割の2つの部分から成り立っています。

  • 均等割:所得に関係なく一律に課税される部分
  • 所得割:所得に応じて税額が決まる部分

均等割・所得割ともに免除になることを「住民税非課税」と言います。「住民税非課税世帯」は、世帯全員が住民税非課税となる世帯を指します。

なお、「住民税の所得割のみ非課税」となる区分もあります。ただし今回の給付金の対象となるかどうかは自治体により異なるため、必ずお住まいの市区町村などの基準をご確認ください。

2.2 住民税が非課税となる<要件>を詳しく見てみよう

では、住民税が非課税となる要件を詳しく見てみましょう。

以下のいずれかに該当した場合、住民税が非課税となります。

  1. 生活保護を受けている
  2. 障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
  3. 前年の所得が各市区町村の基準を下回る

1と2の要件は全ての市区町村で共通ですが、3の所得要件は市区町村ごとに異なる基準があります。

次章では札幌市を例に挙げて、具体的に基準について確認していきましょう。

3. 「住民税非課税世帯」となる所得の基準っていくらぐらい?

「住民税非課税世帯」に該当する所得の限度額を確認していきます。

基準は市区町村ごとに異なりますので、ここでは札幌市の例を見てみましょう。

3.1 【札幌市のケース】所得割・均等割の両方が非課税の世帯

住民税非課税世帯に該当する世帯(札幌市の場合)3/7

住民税非課税世帯に該当するケースとは?

出所:札幌市「個人市民税」

  • 扶養親族を有さない方:45万円
  • 扶養親族を有する方:35万円×家族数(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+31万円

3.2 【札幌市のケース】所得割のみが非課税の世帯

住民税非課税世帯に該当する世帯(札幌市の場合)4/7

出所:札幌市「個人市民税」

  • 扶養親族を有さない方:45万円
  • 扶養親族を有する方:35万円×家族数(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+42万円

「収入」から控除や経費を差し引いたものが「所得」ですが、具体的な所得金額の基準は、自治体によって大きく異なります。

ご自身が住民税非課税世帯に該当するかどうか知りたい場合は、お住まいの自治体の広報やホームページで確認しましょう。

続いて、年齢層ごとの住民税課税世帯の割合を見ていきます。

4. 「住民税非課税世帯」ってどれくらいいるの?

厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」の資料から、年齢層別に住民税が「課税される世帯」の割合を見てみましょう。

住民税課税世帯の年代別割合5/7

【一覧表】住民税課税世帯の年代別割合

出所:厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」をもとにLIMO編集部作成

  • 30歳代:88.0%
  • 40歳代:90.0%
  • 50歳代:86.4%
  • 60歳代:78.3%
  • 70歳代:64.1%
  • 80歳代:47.5%
  • 65歳以上(再掲):61.9%
  • 75歳以上(再掲):50.9%

※  全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯が含まれます。
総数には、年齢不詳の世帯が含まれます。
住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯を含む。

住民税が課税される世帯の割合は、30~50歳代では約90%でしたが、60歳代で78.3%となります。その後65歳以上は61.9%、75歳以上は50.9%となっています。

年齢が高くなるにつれて、住民税が課税される世帯の割合は低くなっています。

一般的に年金生活に入ると現役時代よりも収入が減少し、それに加えて65歳以上の方には公的年金に対する所得控除が大きく、また遺族年金が課税対象とはなりません。

そのため、高齢者の年金生活者は「住民税非課税世帯」に該当しやすい傾向があるのでしょう。

5. 知っていましたか?令和7年度「税制改正」のポイント~所得税の基礎控除額が改定~

「令和7年度税制改正」により、所得税の基礎控除額が改定されました。

これにともない、公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額が、現行の「158万円未満→205万円未満」に引き上げられました。(65歳未満は「現行の108万円未満→155万円未満」に引き上げ)

令和7年分の公的年金における源泉徴収額の計算に用いる基礎控除額は以下の通りです。

5.1 【年齢別】令和7(2025)年の公的年金における源泉徴収額の計算に用いる基礎的控除額」

65歳以上

  • 2025年12月の精算時
    • 公的年金等の月割額×25%+10万円(16万5000円未満となる場合は、16万5000円)
  • 2025年の各月の年金支払い時
    • 公的年金等の月割額×25%+6万5000円(13万5000円未満となる場合は、13万5000円)

65歳未満

  • 2025年12月の精算時
    • 公的年金等の月割額×25%+10万円(12万5000円未満となる場合は12万5000円)
  • 2025年の各月の年金支払い時
    • 公的年金等の月割額×25%+6万5000円(9万円未満となる場合は9万円)

5.2 2025年分の所得税「源泉徴収と還付イメージ」

この改正により、2025年12月の年金支払い時に「1年間の最終的な税額」と「それまでに源泉徴収された税額」との間で精算がおこなわれ、過払い分が生じていた場合は、その差額が還付されます。

6. 自助努力がカギ!今から老後資金の準備を

今回は、「住民税非課税世帯」について解説していきました。

年齢が高くなるにつれて、住民税が課税される世帯の割合は低くなっていることがわかりました。

給付金は生活の助けになるありがたい制度ですが、年金と給付金だけで老後資金をまかなうのは、現実的に難しいのが実情です。

さらに、少子高齢化の影響で、将来的には社会保障や給付金の財源が不足する可能性も指摘されています。

老後資金は年金だけに頼らず、自助努力をして準備していくことが大切な時代です。早めのうちから老後対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考資料