7月15日に厚生労働省が公表した「国民生活基礎調査」によると、2024(令和6)年の全世帯における1世帯当たりの平均所得金額は575万2千円となる一方、中央値は451万円となっており、一部の高所得世帯が平均値を押し上げている実態が示されています。

収入への関心が高まる中、筆者自身も金融業界で働くようになってから、「将来の選択肢を広げるためには、まず収入や資産の現状を客観的に把握することが大切だ」と考えるようになりました。その中で、「自分の年収は世間と比べて高いのか」「老後資金は十分なのか」といった漠然とした不安を抱える方を数多く見てきました。

将来の資産形成やキャリアを考えるうえでは、まず自分の立ち位置をデータで把握することが重要です。平均年収はその一つの目安になりますが、業種や職種、性別、働き方によって収入には大きな差があります。

本記事では、国税庁の最新データをもとに、日本全体の平均年収や年収400万円以上の割合を確認するとともに、業種別・業界別の平均年収ランキングを紹介します。ご自身の年収や今後のキャリアを考える際の参考として、ぜひ最後までご覧ください。

1. この記事の3つのポイント

  •  日本の平均年収は478万円で、過去30年間400万円台で推移
  •  年収は年齢によって大きく変動し、50歳代後半でピークを迎える
  •  業種別では「金融」が平均年収1位、小分類では専門性の高い分野ほど高年収

 

2. 日本の平均年収は478万円。30年にわたり「400万円台」で推移

まずは、国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」をもとに、日本の最新の平均年収を確認してみましょう。

2.1 【全体・男女別】日本の平均年収はいくら?

  • 全体:478万円
    • 男性:587万円
    • 女性:333万円

1年間を通して勤務した給与所得者の平均年収は478万円となりました。

前年より増加したものの、国税庁の「民間給与実態統計調査」を振り返ると、日本の平均年収は過去30年間にわたり400万円台で推移しています。

30年前の平均年収2/4

30年前の平均年収

出所:国税庁「平成13年分 民間給与実態統計調査」

過去のデータを見ると、最も高かったのは1997年の467万円でしたが、その後長く400万円台で推移し、令和6年には478万円となりました。

3. 年収400万円以上の人はどれくらいいる?

では、日本で年収400万円以上を得ている人は、全体のどの程度を占めているのでしょうか。

年収一覧表

年収一覧表

出所:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」

3.1 年収400万円以上の割合(5年間の推移)

  • 令和2年分:45.3%
  • 令和3年分:46.9%
  • 令和4年分:48.8%
  • 令和5年分:49.2%
  • 令和6年分:52.0%

令和6年は52.0%となり、年収400万円以上の人が全体の半数を超えました。

過去5年間を見ても、その割合は徐々に上昇しています。

男女別では次のような結果です。

  • 男性:約67.8%
  • 女性:約31.0%

男性は約3人に2人が年収400万円以上である一方、女性は約3人に1人という状況です。

最も割合が高い年収帯を見ると、男性は「400万円超~500万円以下(16.9%)」、女性は「200万円超~300万円以下(19.0%)」となっており、男女間で年収分布に違いが見られます。

では、年代別の場合、平均年収はどのように変わるのでしょうか。

4. 年齢によって平均年収はどのように変わる?

日本全体の平均年収は478万円ですが、実際には年齢によって大きな違いがあります。

国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、20歳代では300万円前後から400万円台へ伸び、30歳代ではさらに上昇します。

40歳代に入ると500万円を超え、50歳代後半(55~59歳)では572万円と最も高い水準となっています。

一方で、60歳代以降は定年退職や再雇用、勤務形態の変化などの影響を受け、平均年収は473万円(60~64歳)、370万円(65~69歳)、305万円(70歳以上)と低下する傾向が見られます。

また、男女別に見ると、年齢が上がるにつれて平均年収の差も大きくなることが特徴です。

たとえば、50歳代後半(55~59歳)では男性が735万円であるのに対し、女性は356万円となっており、働き方や役職への登用状況、ライフイベントなどが収入に影響していると考えられます。

このように、平均年収478万円という数字は全年齢をまとめた平均値であり、自分の年齢や働き方によって比較の基準は異なります。

また、年収は年齢だけでなく、どの業種で働くかによっても大きく異なります。

続いて、業種別の平均年収ランキングを見ていきましょう。

5. 【業種別】平均年収ランキングを確認

続いて、dodaが公表している「平均年収ランキング(職種・職業別の平均年収/生涯賃金)【最新版】」をもとに、業種ごとの平均年収を見ていきます。

平均年収が高い順に並べると、以下のようになります。

【業種別の平均年収一覧表】4/4

【業種別の平均年収一覧表】

出所:doda「平均年収ランキング(業種別の平均年収/生涯賃金)【最新版】」をもとに筆者作成

5.1 業種別の平均年収ランキングをチェック

  • 1位 金融:全体 500万円 / 男性 615万円 / 女性 419万円
  • 2位 メーカー:全体 492万円 / 男性 540万円 / 女性 399万円
  • 3位 総合商社:全体 479万円 / 男性 555万円 / 女性 388万円
  • 4位 IT/通信:全体 466万円 / 男性 498万円 / 女性 416万円
  • 5位 建設/プラント/不動産:全体 447万円 / 男性 490万円 / 女性 379万円
  • 6位 専門商社:全体 444万円 / 男性 493万円 / 女性 382万円
  • 7位 インターネット/広告/メディア:全体 440万円 / 男性 493万円 / 女性 396万円
  • 8位 メディカル:全体 416万円 / 男性 514万円 / 女性 367万円
  • 9位 サービス:全体 390万円 / 男性 439万円 / 女性 349万円
  • 10位 小売/外食:全体 368万円 / 男性 413万円 / 女性 331万円

ランキングからは、業種によって平均年収に大きな差があることが分かります。

dodaによると、10業種のうち金融やメーカー、総合商社など8業種では、過去9年間で最も高い平均年収を更新しました。

とくにメーカーは前年から11万円、金融は9万円上昇しており、伸び幅が大きくなっています。

将来どの業界が高い成長を続けるかは見通せませんが、転職や就職を考える際の参考データの一つになるでしょう。

6. 平均年収が高い「金融」と「メーカー」を詳しく見る

続いて、平均年収の高い「金融」と「メーカー」について、小分類ごとの平均年収を確認します。

6.1 【金融】小分類ごとの平均年収

  • 投信/投資顧問:全体 814万円 / 男性 932万円 / 女性 667万円
  • ベンチャーキャピタル/プライベートエクイティ:全体 724万円 / 男性 805万円 / 女性 600万円
  • 証券会社:全体 609万円 / 男性 680万円 / 女性 532万円
  • 信託銀行:全体 607万円 / 男性 818万円 / 女性 486万円
  • 都市銀行:全体 567万円 / 男性 712万円 / 女性 471万円
  • リース:全体 546万円 / 男性 641万円 / 女性 439万円
  • 損害保険:全体 524万円 / 男性 673万円 / 女性 446万円
  • クレジット/信販:全体 506万円 / 男性 613万円 / 女性 424万円
  • 消費者金融:全体 504万円 / 男性 565万円 / 女性 446万円
  • 住宅ローン:全体 503万円 / 男性 570万円 / 女性 453万円
  • 地方銀行:全体 473万円 / 男性 553万円 / 女性 395万円
  • 生命保険:全体 461万円 / 男性 665万円 / 女性 379万円
  • 保険代理店:全体 425万円 / 男性 496万円 / 女性 378万円
  • 信用金庫/組合:全体 412万円 / 男性 465万円 / 女性 363万円

6.2 【メーカー】小分類ごとの平均年収

  • たばこ:全体 759万円 / 男性 802万円 / 女性 576万円
  • トイレタリー:全体 608万円 / 男性 685万円 / 女性 521万円
  • 総合電機メーカー:全体 593万円 / 男性 642万円 / 女性 455万円
  • 自動車/輸送機器メーカー:全体 523万円 / 男性 554万円 / 女性 417万円
  • 電子/電気部品メーカー:全体 517万円 / 男性 561万円 / 女性 411万円
  • 化学メーカー:全体 509万円 / 男性 557万円 / 女性 416万円
  • 機械/電気機器メーカー:全体 507万円 / 男性 540万円 / 女性 414万円
  • 鉄鋼/金属メーカー:全体 489万円 / 男性 531万円 / 女性 382万円
  • ゲーム/アミューズメント機器メーカー:全体 481万円 / 男性 515万円 / 女性 420万円
  • スポーツ/アウトドア用品:全体 475万円 / 男性 503万円 / 女性 425万円
  • 香料:全体 458万円 / 男性 537万円 / 女性 397万円
  • 住宅設備/建材メーカー:全体 456万円 / 男性 505万円 / 女性 381万円
  • 食品/飲料/化粧品メーカー:全体 449万円 / 男性 510万円 / 女性 389万円
  • 紙/パルプメーカー:全体 447万円 / 男性 485万円 / 女性 368万円
  • 玩具:全体 440万円 / 男性 471万円 / 女性 417万円
  • 試薬メーカー/受託合成/受託分析:全体 435万円 / 男性 484万円 / 女性 386万円
  • 日用品/文具/オフィス用品メーカー:全体 423万円 / 男性 497万円 / 女性 369万円
  • 繊維メーカー:全体 407万円 / 男性 485万円 / 女性 357万円
  • 受託加工業(各種加工/表面処理):全体 406万円 / 男性 423万円 / 女性 335万円
  • 家具/インテリア/生活雑貨:全体 406万円 / 男性 460万円 / 女性 363万円
  • ペット関連:全体 398万円 / 男性 472万円 / 女性 344万円

小分類まで見ると、同じ業界の中でも平均年収に大きな開きがあることが分かります。

金融では「投信/投資顧問」や「ベンチャーキャピタル/プライベートエクイティ」といった投資関連の分野が高い水準となっており、専門性の高い職種ほど平均年収も高くなる傾向が見られます。

また、メーカーでは、「たばこ」「トイレタリー」「総合電機メーカー」が上位を占める結果となりました。

中本 智恵
私が銀行でリテール営業をしていた頃、住宅ローンや資産運用のご相談で年収についてお伺いする機会が多くありましたが、「自分の年収は平均より低いから、資産形成なんて無理」と最初から諦めてしまう方もいらっしゃいました。しかし記事にもあるとおり、平均年収は年齢や業種、性別によって大きく異なるため、全体の478万円という数字だけをご自身に当てはめて一喜一憂する必要はありません。
とくに印象的だったのは、年収そのものよりも「年収がピークを迎える時期」を意識できているかどうかで、その後の資産形成に差が出やすいという点です。記事にあるように、平均年収は50歳代後半でピークを迎えたのち、60歳代以降は定年や再雇用の影響で下がっていきます。現役時代、年収が高い時期にどれだけ計画的に貯蓄や投資に回せるかが、老後の資産状況を大きく左右する場面を数多く見てきました。
また、業種別に見ると金融やメーカーが上位を占めていますが、同じ業界でも小分類ごとに年収差が大きいこともよくわかります。転職やキャリアを考える際は、業界の平均だけでなく、実際の職種や求められる専門性まで踏み込んで確認することをおすすめします。

年収は自分の力だけでコントロールしきれない部分もありますが、「今の年収でどれだけ貯蓄や投資に回せるか」という支出配分の部分は、工夫次第で変えていくことができます。平均年収というデータは、他人と比較して落ち込むためではなく、ご自身のライフプランや資産計画を見直すきっかけとして活用していただければと思います。

7. 平均年収だけでなく業種や働き方もあわせて確認しよう

本記事では、日本全体の平均年収や年収400万円以上の割合、業種別・業界別の平均年収ランキングについて紹介しました。

平均年収はあくまで全体の傾向を示す指標の一つです。

実際の収入は勤務地や企業規模、経験年数、職種などさまざまな要因によって変わります。

転職や就職、キャリア形成を考える際は、平均年収だけで判断するのではなく、業界や職種ごとの特徴もあわせて確認し、自分に合った働き方を検討することが大切です。

参考資料