なぜ関西では牛肉がよく食べられているのか
それでは、なぜ関西では牛肉がよく食べられているのでしょうか。
歴史をさかのぼると、飛鳥時代ごろの関西の貴族文化や農耕文化があることが考えられています。
飛鳥時代から平安時代にかけて、貴族の移動手段といえば牛に車を引かせる「牛車」が主流でした。
また、農地を耕す動力としても牛は重宝されていました。
文明開化を経て食肉文化が入ると、福沢諭吉の「牛肉は滋養に良い」という言葉もあり、牛肉を食べる習慣が日本各地に広がります。
しかし日清戦争・日露戦争の勃発により、軍洋食として牛肉が買い占められ、牛肉の価格は高騰し品薄状態になりました。
特に東日本では、その影響を大きく受けたようです。そこで牛肉の代替品として活躍したのが、豚肉です。
飼育期間が短くて済み、繁殖力が強く、雑食性で残飯が多い都市部での飼育に適していたため、豚肉は東日本で急速に普及しました。
関西には古くから牛を利用してきた歴史があり、東日本では戦争による食糧難をきっかけに豚肉を食べる習慣が広がりました。
その結果、「関西人は牛肉をよく食べる」と言われるようになったと考えられます。
「関西人は牛肉をよく食べる」は本当だった!肉を使った関西グルメを堪能してみて
関西地方全体では、全国平均より約2500g、関東平均より約3500g多く牛肉を購入しています。
「関西人は牛肉をよく食べる」という説は本当のようですね。
関西には豚肉を使った「豚まん」に加え、神戸牛や近江牛といったブランド和牛など、肉を使ったグルメがたくさんあります。
まだまだ暑い日が続きますから、スタミナを付けるためにも肉を使った美味しい関西グルメをぜひ堪能してみてください!
参考資料
- 総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市(※)ランキング(2020年(令和2年)~2022年(令和4年)平均)」
- 農林水産省「近畿地域における畜産物をめぐる情勢について」
- 農林水産省「第6章 食文化の継承のための活動」
太田 彩子