投資信託はプロに資金運用をおまかせできる金融商品です。ほったらかしでも長期運用ができることから、忙しい社会人や主婦(主夫)の方にもおすすめです。
では、投資信託を100万円分購入して、長期保有した場合、将来どれくらいの資産になるのでしょうか?
本記事では100万円で投資信託を購入して放置した場合の資産形成シミュレーションを紹介します。
この記事を読んでわかること
- 投資信託とは
- 投資信託を100万円分購入して放置した場合いくらになるか
- 投資信託におすすめの証券会社
投資信託とは
投資信託はプロに資金の運用をおまかせできる投資商品です。
2023年現在で約6000種類の商品があり、それぞれ運用方針や主要な投資対象などが異なります。
投資家は膨大な商品数のなかから好きな商品を選んで購入するだけでOKです。実際の運用は投資のプロであるファンドマネージャーにおまかせできます。
一方で投資信託には以下の手数料がかかります。
- 購入時手数料:投資信託の購入時にかかる手数料
- 信託報酬:投資信託の保有中にかかる手数料
- 信託財産留保額:投資信託の解約時(売却時)にかかる手数料
ただし、最近では購入時手数料と信託財産留保額を無料としている投資信託も数多く存在します。
投資信託は証券口座を開設することで購入できます。
証券会社の公式サイトには投資信託の販売金額ランキングも掲載されているため、運用商品の選定も難しくありません。
投資信託で100万円を放置すると将来いくらになる?
では、投資信託を100万円分購入して放置すると、将来的に資産はどれほどになるのでしょうか?
ここでは年利別・年数別に6つのシミュレーションを紹介します。
※カシオ計算機株式会社「keisan 生活や実務に役立つ計算サイト」積立計算(複利毎課税)によるシミュレーション結果。1年複利で計算、税・手数料は考慮していません。なお、端数は切り捨て、利息の組み込みは期末です。
<年利3%で運用した場合>
- 【10年運用】元利合計:134万3943円
- 【20年運用】元利合計:180万6087円
- 【30年運用】元利合計:242万7172円
<年利5%で運用した場合>
- 【10年運用】元利合計:162万9113円
- 【20年運用】元利合計:265万3580円
- 【30年運用】元利合計:432万2349円
ご覧の通り、年利5%で運用できた場合は30年近くで4倍以上に資産が膨らんでいます。
投資信託の平均利回りは3%~10%(3年~5年運用した場合)といわれているので、いずれも無理なシミュレーションではないでしょう。
余剰資金で投資信託を保有すれば、将来的に大きな資産を形成することも可能です。
投資信託はNISAで運用できる
投資信託はNISAで運用できる点からも、ほったらかし投資におすすめです。
NISA(ニーサ・Nippon Individual Savings Account)は対象の投資商品から得られる利益が非課税となる税制優遇制度です(通常、投資の利益には約20%の税がかかります)。
NISAは一般NISAとつみたてNISA、未成年が利用できるジュニアNISAの3種類から構成されています。
各々1年間に投資できる金額や利益の非課税期間などが異なります。
投資家はいずれか1種類を選んで運用できます。
<現行NISAの概要>
一般NISA |
つみたてNISA |
ジュニアNISA |
|
1年間に投資できる金額 |
120万円 |
40万円 |
80万円 |
利益が非課税となる期間 |
5年間 |
20年間 |
5年間※ただし、2024年以降に非課税期間が終了するものについては18歳まで非課税で保有できる |
投資できる商品 |
上場株式や投資信託など |
金融庁が定めた基準を満たす一定の投資信託 |
一般NISAと同じ |
投資方法 |
一括購入とつみたて購入の両方可 |
つみたて購入のみ |
一般NISAと同じ |
対象年齢 |
18歳以上 |
18歳以上 |
18歳未満 |
新NISAとは
新NISAは2024年1月にスタートする税制優遇制度です。
基本的な方針は現行のNISAと変わらず、対象の投資商品から得られる利益が非課税となる制度となっています。
新NISAは成長投資枠とつみたて投資枠の2種類が用意されており、各々の違いは以下の通りです。
成長投資枠(現行の一般NISAを継承した内容) |
つみたて投資枠(現行のつみたてNISAを継承した内容) |
|
1年間に投資できる金額 |
240万円 |
120万円 |
非課税期間 |
無期限 |
無期限 |
投資できる商品 |
上場株式や投資信託など |
金融庁が定めた基準を満たす一定の投資信託 |
投資方法 |
一括購入とつみたて購入の両方可 |
つみたて購入のみ |
対象年齢 |
18歳以上 |
18歳以上 |
両制度は併用することもできますが、運用できる最大保有額は1800万円となっています(成長投資枠単体では1200万円まで)。
100万円を放置したい!おすすめの投資信託4選
ここまでで、投資信託を利用して100万円をほったらかし運用したいと考えた方もいるでしょう。
そこで次は100万円で購入したいおすすめの投資信託4選を紹介します。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
- SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
投資信託の運用に興味がある方はぜひ参考にしてください。
1. eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
期間収益率(過去3年) |
81.3% |
信託報酬率 |
年率0.11330% |
運用できる主な証券会社 |
楽天証券・マネックス証券・SBI証券・松井証券・auカブコム証券 |
つみたてNISA対応 |
◯ |
※eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のマンスリーレポートによる※2023年7月31日現在
低コストファンドのシリーズで知られる「eMAXIS Slim」の投資信託。
全世界の株式に幅広く分散投資できます。
「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2022」で1位に輝いた実績もある人気ファンドです。
2. eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
期間収益率(過去3年) |
82.4% |
信託報酬率 |
年率0.1133% |
運用できる主な証券会社 |
楽天証券・マネックス証券・SBI証券・松井証券・auカブコム証券 |
つみたてNISA対応 | 〇 |
※eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)のマンスリーレポートによる※2023年7月31日現在
低コストファンドのシリーズで知られる「eMAXIS Slim」の投資信託。
日本を除く全世界の株式に幅広く分散投資できます。
すでに日本株を運用している方や日本株以外の全世界の株式に幅広く分散投資をしたい方におすすめです。
3. eMAXIS Slim先進国株式インデックス
期間収益率(過去3年) |
89.9% |
信託報酬率 |
年率0.09889% |
運用できる主な証券会社 |
楽天証券・マネックス証券・SBI証券・松井証券・auカブコム証券 |
つみたてNISA対応 | ○ |
※eMAXIS Slim先進国株式インデックスのマンスリーレポートによる※2023年7月31日現在
低コストファンドのシリーズで知られる「eMAXIS Slim」の投資信託。
先進国の株式市場を投資対象としています。
フランスやイギリスといった先進国はインドや中国などの新興国に比べてローリスク・ローリターンな運用が期待できます。
長期的にリスクの低い安定成長を狙うのであれば、ぜひ検討したい商品です。
4. SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
期間収益率(過去3年) |
96.94% |
信託報酬率 |
年率0.0938%程度 |
運用できる主な証券会社 |
松井証券・マネックス証券・SBI証券・auカブコム証券 |
つみたてNISA対応 |
〇 |
※SBI・V・S&P500インデックス・ファンドのマンスリーレポートによる※2023年7月31日基準
アメリカを代表する500社で構成される株価指数「S&P500」に値動きを連動させる投資信託です。
米国株に幅広く投資したい方におすすめです。
2023年7月末時点の構成銘柄にはアップルやテスラ、マイクロソフト、アマゾンなどのグローバルカンパニーが名を連ねています。
投資信託を始める初心者におすすめの証券会社3選
投資信託の購入には証券口座が必要となります。
ここでは初心者の方におすすめの証券口座として以下の3社を紹介します。
- 楽天証券
- 松井証券
- SBI証券
いずれもハイスペックな人気証券会社です。
気に入ったものから検討してみてください。
※各データは2023年9月5日時点の情報に基づきます。
1. 楽天証券
<基本情報>
楽天証券 | |
国内株取引手数料(1日あたり) | 100万円まで0円 |
外国株取扱範囲 | 米国、中国、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア |
IPO取扱数(2022年実績) | 65銘柄 |
投資信託本数 | 2611本 |
つみたてNISA商品数 | 194本 |
ポイント投資 |
|
投信保有残高に応じたポイント還元(毎月) | なし |
クレジットカード決済の還元率(投資信託の積立投資) | 0.5~1%(楽天ポイント) |
独自サービス |
|
楽天証券は900万口座の開設実績を誇る日本屈指の証券会社です。
NISA口座数業界NO1の人気ネット証券であり、手数料・商品ラインナップの両面で優れています。
国内株手数料は1日100万円までの取引が無料。2023年10月2日約定分からは現物・信用とも完全無料となります。
外国株は米国のほか、中国・ASEAN株(タイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア)もカバーしており、投資信託は2611本、つみたてNISA対象商品は194本をラインナップしています。
また、独自サービスが魅力的なのも楽天証券のメリットです。
投資信託のつみたて投資を楽天カード決済にすれば、購入額の0.5~1%が楽天ポイントで還元されるほか、たまった楽天ポイントは投資信託・国内株・米国株・バイナリーオプションの購入代金に充当できます。
日本経済新聞(朝刊・夕刊)を無料で購読できる点も大変お得なメリットです。
<楽天証券が向いている人>
- 手数料が安く商品ラインナップに優れた証券会社を探している方
- 楽天ポイントユーザー
- 日本経済新聞の購読に興味がある方
2. 松井証券
<基本情報>
松井証券 | |
国内株取引手数料(1日あたり) | 100万円まで1100円 |
外国株取扱範囲 | 米国 |
IPO取扱数(2022年実績) | 50銘柄 |
投資信託本数 | 1708本 |
つみたてNISA商品数 | 197本 |
ポイント投資 |
|
投信保有残高に応じたポイント還元(毎月) | 最大0.85% |
クレジットカード決済の還元率(投資信託の積立投資) | なし |
独自サービス |
|
松井証券は1918年創業の老舗証券会社です。
サポート体制に定評がある人気ネット証券であり、HDI-Japan(ヘルプデスク協会)が主催する「2022年度問合せ窓口格付け(証券業界)」では、「問合せ窓口」と「webサポート」の両部門で12年連続の「三つ星」(最高評価)を獲得しています。
また、以下の2点も松井証券を利用する大きなメリットです。
- 25歳以下の国内株取引手数料が無料(現物・信用)
- 投資信託保有額の最大0.85%を還元(投資信託 毎月ポイント・現金還元サービス)
「投資信託 毎月ポイント・現金還元サービス」は、投資信託の運用コストである信託報酬を投資家に還元するサービスです。
信託報酬率が年率0.3%(税抜)を超える投資信託を運用した場合、投信保有額の最大0.85%がポイントや現金で還元されます。
たまるポイントは松井証券ポイントで、AmazonギフトカードやPayPayポイントに交換したり、投資信託の購入代金に充当できます。
<松井証券が向いている人>
- 投資信託をメインで運用したい方
- 高水準なサポート体制を望む方
- 老舗証券会社の安心感のもとで投資がしたい方
3. SBI証券
<基本情報>
SBI証券 | |
国内株取引手数料(1日あたり) | 300万円まで0円(現物・一般信用・制度信用それぞれ100万円まで) |
外国株取扱範囲 | 米国、中国、韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア |
IPO取扱数(2022年実績) | 117銘柄 |
投資信託本数 | 2654本 |
つみたてNISA商品数 | 205本 |
ポイント投資 |
|
投信保有残高に応じたポイント還元(毎月) | 最大0.25%(Ponta、V、T、dポイント、JALマイルから選択) |
クレジットカード決済の還元率(投資信託の積立投資) | 0.5~5%(Vポイント)※三井住友カードの場合 |
独自サービス |
|
SBI証券はグループ1000万口座の開設実績を誇る人気ネット証券です。
オリコン顧客満足度(2023)ではネット証券部門で第1位に選ばれています。
国内株の取引手数料は現物、一般信用、制度信用それぞれ1日100万円まで無料(25歳以下なら現物取引完全無料)。
2023年9月30日には国内株取引手数料が無料となるゼロ革命がスタートします。
米国株の取扱数は5400銘柄以上で主要ネット証券最多(2023年8月4日現在)。ほかにも中国や韓国、インドネシアなど9カ国の外国株を取り扱っています。
投資信託は2654本をラインナップ。つみたてNISA対象商品も205本を取り扱っています。
IPOの関与率は98.9%(2023年3月通期)。2022年実績では117社のIPO銘柄を取り扱っており、IPO投資に積極的な投資家にもおすすめです。
<SBI証券が向いている人>
- 国内株手数料の安さにこだわる方
- 外国株を幅広く取り扱いたい方
- IPO投資に積極的に取り組みたい方
参考資料
- カシオ計算機株式会社「keisan 生活や実務に役立つ計算サイト」積立計算(複利毎課税)
- SBI証券公式サイト
- 楽天証券公式サイト
- マネックス証券公式サイト
- 金融庁「つみたてNISAの概要」
- 金融庁「一般NISAの概要」
- 金融庁「新しいNISA」
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まとめ
- 投資信託は実際の資金運用をプロにおまかせできる金融商品
- 投資信託の運用におすすめの証券会社は楽天・マネックス・SBI証券
久保田 雅大