2019年に金融庁から発表されて話題となった「老後2000万円問題」をご存知でしょうか。
老後の生活を送るためには、年金以外に2000万円のお金が必要という試算です。老後はゆっくりと年金で生活したいと思っている方達にとっては、驚きの内容だったかもしれません。
一方で日本のシニア世帯はお金持ちというイメージも多いため、2000万円の貯蓄は普通に持っていると思った方もいるでしょうか。
2000万円はあくまでモデルケースを使った試算ですから、全世帯に当てはまるわけではありません。
しかし目安として2000万円の貯蓄を目指す方達が増えたのも事実です。
そこで今回は実際に60歳を迎えた方たちで2000万円を保有している割合や、資産寿命を延ばすコツについて考察していきます。
1. 60歳代【年金世代】の「貯蓄額2000万円超」は29%
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」という調査では、年代ごとの貯蓄事情を知ることができます。
20歳以上80歳未満を対象に、インターネット調査によって行われたアンケート。
こちらの結果をもとに、60歳代の二人以上世帯の金融資産保有額を確認してみましょう。
1.1 60歳代(二人以上世帯)の金融資産保有額
- 平均値:1819万円
- 中央値:700万円
※金融資産を保有していない世帯を含む
平均値1819万円で、2000万円に近い数字になります。ただし、一部の富裕層によって値が引っ張られると考える方がいいでしょう。
データを小さい順に並べた時に、ちょうど真ん中に来る値を示したものが中央値です。ここでは、「平均値」ではなく、「中央値」である700万円の方が、より実態に近いといえるでしょう。
では次に、保有額ごとの人数割合を確認します。
1.2 60歳代(二人以上世帯)の金融資産保有額ごとの人数割合
- 金融資産非保有:20.8%
- 100万円未満:6.1%
- 100~200万円未満:5.5%
- 200~300万円未満:3.3%
- 300~400万円未満:3.2%
- 400~500万円未満:3.4%
- 500~700万円未満:5.3%
- 700~1000万円未満:6.1%
- 1000~1500万円未満:8.6%
- 1500~2000万円未満:5.7%
- 2000~3000万円未満:8.8%
- 3000万円以上:20.3%
- 無回答:2.9%
金融資産を2000万円以上保有している世帯はわずか約29.1%です。
2000万円を持っている方でも、老後の不安がない方は少ないでしょう。その一方で、金融資産を保有していない世帯は20.8%にのぼります。
二極化の現状がうかがえますね。