2. 60歳代の貯蓄に「退職金」は期待できるのか
60歳代の貯蓄格差で真っ先に思い浮かぶのが、退職金の有無ではないでしょうか。
まとまった退職金を受け取って、住宅ローンの一括返済や老後資産に充てる方もいます。
しかし、退職金の金額や有無については、企業によって大きく異なります。
実は近年では、退職金制度そのものを廃止している会社も増えているのです。
やや古いデータになりますが、厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査」によると、退職給付(一時金や年金)がある企業は、約80.5%でした。20%近くの企業において、退職金がありません。
これまでの世代では「退職金ありきの老後設計」が行われていましたが、年々厳しくなるのが現状です。
わたしたち現役世代が退職するころには、さらに厳しい時代が待っているのかもしれません。
3. では60歳代の公的年金受給額はいくらなのか
貯蓄や退職金があてにならない場合、公的年金に頼ることになるでしょう。
厚生労働省が2022年12月に公表した「令和3年度厚生年金・国民年金事業の概況(2021年度)」によると、60歳代の年金受給額の平均は以下の通りです。
3.1 国民年金の平均年金月額
- 60~64歳:4万2512円
- 65~69歳:5万7739円
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象で、納める保険料は一律です。
国民年金を40年間納めた方の場合、2023年度の受給額は満額で6万6250円(月額)。年金保険料の未納期間に応じて満額から差し引かれるしくみになっています。
64歳未満の場合、繰上げ受給のため減額となり平均は少ない傾向にあります。
それ以降は5万円台後半となっていますね。
3.2 厚生年金(第1号)の平均年金月額
- 60~64歳:7万7274円
- 65~69歳:14万3613円
※国民年金(基礎年金)の月額を含む
厚生年金は、会社員や公務員などが国民年金に上乗せして受け取ることができます。
平均は上記のとおりですが、実際に受け取る年金額は、現役時代の収入や加入期間によって差が生じます。
受給額の見込みについては「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認しておきましょう。