「大学でも友人はできますが、やはり親密なのは中学からの友人です。仕事を一緒にすることもあります。そうした時は本当に楽しいですね。また、困ったことがあれば知らない弁護士に頼むよりも友人の弁護士、健康面で相談があれば友人の医者、という具合です。大学の『○○会』というようなネットワークよりもはるかに信頼を置いています」
中学受験のデメリット
では、中学受験のデメリットとは何でしょうか。
「日本の中学受験というのは、同レベルの学力の生徒、似たような家庭環境の子供たちを集めるシステムとも言えます。受験の結果集まった子供たちはある意味同質なんですよね。だから自分も居心地が良かったと、今振り返れば思います。ところが、社会に出て感じたのは、海外に行かなくても、日本で仕事をするにしても十分に多様なんです。多様であることにアレルギーがあるのは、今の時代いいことはありませんね。中学受験後に6年も同じ仲間と一緒だと、外部からの刺激にどうしても弱くなります。担任の先生すら変わらないこともありますから(笑)」
A氏は続けます。
「大学進学後、大学という多様性の塊の集団になじめない中高一貫生は意外に多いですよ。ところが、特に都内の公立校から進学してきた生徒はすんなりなじんでいて羨ましく思えますね。仕事で成功するかどうかは、社会人になっても努力し続けられるかどうかだと思っているので、中高一貫校出身で大学になじめなかったり、燃え尽きたりする人を見るともったいなと思うようになりました」
中学受験の成功者は子供にも受験をさせたいのか
中学受験の長所も短所も知っているA氏は、子供に中学受験をしてほしいと思っているのでしょうか。