「転職して思ったのですが、日本の大学を卒業して外資系金融機関に就職するのが一番費用対効果が高いと気づきました。私は私立大学でしたが当時の授業料は数十万円後半でした。ところが、米国の大学院などだと年間に数百万円はざらです。そこまで教育費に差があって、最終的に就職する先が同じで給与もそれほど変わらないとすれば、何のための教育費かわかりません。スタンフォードやウォートンを出た人よりも私の方が若くして給料は良かったのですから。私も米国の西海岸の大学院に合格しましたが、今の給料を捨てて行っても投資を回収できないと思って結局行きませんでした」

理想の中学受験とは

今のA氏に中学受験はどのように見えているのでしょうか。

「親には中学、高校、大学まですべて私立に進学させてもらいましたが、みんなが行きたがるに企業に勤めるのであれば、中学受験はどうしても必要な進路というわけではないでしょう。たとえば、今は東大も慶應も早稲田も就職する人数が多いのは共通してメガバンクグループの銀行です。もともと採用人数が多いと言ってしまえばそれまでですが、どこに進学しようと行先は一緒です。同期でも頭取になれるのは1人いるかいないかです。中学受験でその確率を上げるのは難しいですよね。まあ、頭取になりたいと思っている人がどれくらいいるのかという話もありますが」

では、中学受験をするメリットはないのでしょうか。A氏は子供の考えを尊重するとしたうえで、次のように続けました。