多くの小学校で夏休みを迎えました。
この春に「小1の壁」をなんとか越えた家庭が、夏休みに新たな壁にぶつかることも珍しくありません。
厚生労働省によると、2022年度に放課後児童クラブ(学童保育)を利用できた世帯は139万2158人と、過去最高を記録しました。
一方、待機児童も前年比1764人増の1万5180人存在します。潜在的にはもっといることが予想されるでしょう。
では、小1の壁のひとつである「学童保育に入所できるか」をクリアできたのに、なぜ夏休みに再び壁を感じることがあるのでしょうか。
事例を2つ見ていきましょう。
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小1の壁とは
小1の壁とは、子どもが小学校に入学するタイミングで、仕事と育児の両立が困難になる事象を総称したものです。
保育園を卒園した共働き世帯やシングル世帯では、小学校入学のタイミングで学童保育の利用が必要になります。
学童保育は誰でも利用できるわけではなく、地域によっては保活(保育園に入れるために親が行う活動)と同じように点数制や抽選方式がとられるため、利用できないケースがあるのです。
厚生労働省の資料(図表1)のとおり、学童保育の利用者は増加傾向にあるものの、待機児童は前年比で増加していることがわかります。
ただし国も対策をとっており、施設数の増加により待機児童問題の解消を目指しています。
一方で、たとえ学童保育を利用できても、利用時間が短く仕事の就業時間と調整できないなどの問題が生じているのも事実です。
厚生労働省の同資料によると、18時30分以降も開所している学童保育所は全体の61%です。
過去より増加しているものの、まだ4割はそれ以前に閉所します。19時まで開所していても、18時以降は延長料金がかかるところもあります。
フルタイムで働く夫婦やシングル世帯にとっては、利用時間も大きな壁のひとつと言えるでしょう。